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mc1397

2023年11月08日

こじつけ先生処世術高座

こじつけ先生の処世術高座その37
イチゴ世代(15歳前後)が危ない
 なぜ増える小中の不登校

 児童生徒の登校拒否=不登校の問題は毎年、文部科学省が実態調査をしている。こじつけ先生は本年の調査結果から、これは由々しき問題であるとして、今回の高座のテーマに取り上げた。これより高座の始まり始まり。

小中の不登校 29万9千人余 過去最多
 本年10月5日・18日付け中日新聞に掲載された文部科学省の2022年度の問題行動・不登校調査結果(10月4日公表)によると、全国の国公私立小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は、小学生は10万5112人、中学生は19万3936人の計29万9048人と過去最多を更新。コロナ禍の20年度から10万人以上増えた。35人学級に1人は不登校の児童生徒がいることになる。不登校は学年が上がるにつれ増える傾向にあり、最多は中2の7万622人で、中3の6万9544人が続いた。高校は6万575人。いじめの認知件数の学校種別は、小学校55万1944件、中学校11万1404件、高校1万5568件、特別支援学校3032件で10.8%(6万6597件)増の68万1948件であり、全学校の82.1%に当たる2万9842校でいじめが認知された。なお、いじめのうち身体的被害や長期欠席などが生じた「重大事態」は217件増の923件で最多となった。

児童生徒の学びを支える態勢が圧倒的に不足
  学校側が挙げる不登校理由は児童生徒の「無気力・不安」が最多で過半数を占め、文部科学省は不登校を「コロナ禍で学校や家庭の環境が変わり、生活リズムが崩れやすい状況が続いた」と分析しているが、中日新聞の社説では「不登校はコロナ禍以前から増えており、適切な説明とは言えない、子どもがなぜ無気力や不安にならざるを得なかったかを探ることが大切だ」と指摘している。なお、同新聞の社説では「同省が2021年に公表した調査報告書には児童生徒自身が回答した不登校のきっかけが記されており、教員やほかの児童生徒との関係、勉強についていけないなど、学校由来の理由が多数を占める。」「問題は、急増する不登校の児童生徒の学びを支える態勢は圧倒的に不足していること」と課題を示している。
  深刻な問題は、社説によると、「不登校の児童生徒の中で、養護教諭や各地の教育支援セターなど学校内外の専門家に相談したり指導を受けたりしていない子どもは4割近くに上る。こうした子どもたちは毎日どう過ごしているのか、心配せざるを得ない。」とのことだ。
  最近、滋賀県東近江市長が「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」と不登校対策を話し合う会議で、持論を展開し、物議を醸した。その後の会見で、配慮不足を認め謝罪したが、発言は撤回しなかったそうだ。この市長の発言は暴言であり、首長としての資質を問われかねないものだ。
 それはさておき、教育機会確保法(2017年施行)は「不登校=問題行動」ではないとし、多様な学びの場の確保、個々の状況に応じた学習支援を求めている。文部科学省は、受け皿の一つがフリースクールでの学習で、各校長の判断で出席扱いにできるとの通知を発している。いわば、学校に籍を置きながら、フリースクールに登校できる。
 また、政府が11月2日に決定した経済対策によると、不登校の居場所を運営する民間団体と、「子どもの居場所づくりコーディネーター」を採用・育成する地方自治体を財政面から支援強化するとのこと。制度設計や予算付け、地方自治体への支援策など具体的なことはこれからだから、実施までには数年要するのでしょう。世界に冠たる日本の官僚の政策力の貧困さに愕然とする。教育ほど政策と実態の乖離が大きいものはない。もっと力を入れるべきと考える。

子どもたちに何が起きているのか
  以上が文部科学省や新聞の報道の内容であるが、文科省の調査は実態を把握するのみの現象的な問題を捉えているにすぎず、本質的な問題である子どもたちに何が起きているのかに踏み込んではいない。なぜ中2や中3の15歳前後の「イチゴ世代」が揺れているのか。親の知らない子どもたちの叫びは何だろう。
  急速に進むICT化、スマホでのSNS、見知らぬ人とのネットを通じての交流、その一方で校則の縛り、教員による盗撮、淫行といった暴走、体罰、陰湿化しているいじめ、コロナ禍で学校や家庭の環境の変化などが不登校の背景にあるのだろう。それが子どもたちの心を無気力、不安にさせているのではないだろうか。

30年前から登校拒否問題はあった
  古い話で恐縮だが、30数年前の1990年1月の国の青少年白書によると、昭和63年度の児童生徒の登校拒否(当時はこの表現)は4万2千人余で昭和54年度の4倍と大幅に増加しており、なかでも中学生は3万6100人であったと大きく報道された。当時の親世代は戦後のベビーブームである40代の団塊の世代で、この世代は受験戦争、学生運動、昇進レースそして老後も・・・人生が終わりを迎えるまで競争し続けなければならない世代であった。
昭和63年度当時の子どもは第二次世代で親以上に深刻な状況が登校拒否という形で現れた。もう少し、当時の話を続ける。白書によると、小中学生登校拒否者を態様別に見ると、無気力型が29.9%、情緒混乱型が29%、非行グループ型16.6%など。こうした社会的背景として、ビデオやパソコンなどの普及が人との付き合いを苦手にしたり、生活実感を希薄にさせている。そして家族の団らんの機会の少なさ、偏差値偏重の学校教育の弊害、青少年の疲労感や無気力感が広がっていると白書は指摘していた。当時も国の調査は実態の把握のみで団塊の世代の子どもたちに何が起きているのか、親たちの知らない子どもの叫びは何かという本質問題を掴んでいなかった。
  当時、高校受験に追われる中学生の間に″コックリさんごっこ″とか″自殺ごっこ″とか″人面犬″というような超常現象が流行し、その一方で校則、体罰、いじめなどが原因で登校拒否症状を起こしていた。ここにイチゴ世代と呼ばれる15歳前後の彼らの心の″揺れ″を見ることができたが、国の対策は①家族の触れ合いと信頼関係②児童生徒の個性や多様な能力を引き出す③地域ぐるみで子どもを育成する環境をつくることが重要と強調していた。そこに苦しむ子どもたちに寄り添うという姿勢は見られず、上から目線の対策でしかなかった。これでは功を奏することはできず、以後、毎年登校拒否=不登校は増え続けることとなり、2022年度は約30万人の不登校となっている。
  近年の児童生徒の不登校は、団塊の世代から見て第三次世代の15歳前後のイチゴ世代であることに驚きを禁じ得ない。ここでも団塊の世代の影響を引きずっているのだろうか。子どもの心の揺れ、叫びが何であるのか。問題の本質を掴んで対処してほしいと考える。

ある日突然、不登校に
  ごく普通の中学生がある日突然、原因が分からないまま「お腹が痛い」といって学校を休む。共働き世帯では急には対応できず、子どもは家庭で過ごすことになる。次の日も、その次の日も腹痛や頭痛が続く。これが不登校の始まり。子どもとの信頼関係がないと、子どもの心は分からない。特にいじめについては、いじめも暴行よりSNSでのいじめ、無視、LINE外し、仲間外れ、物を隠す、壊すなど陰湿化している。昭和の時代の話だが、先輩後輩の関係について、昔から大学の体育会系のクラブでは、1年奴隷、2年平民、3年天皇、4年神様と言われていた。むろん思慮分別のある大学生だから無茶はなかったが、まだ価値観が定まらない中学生の先輩後輩という上下関係はかなり危険ではないだろうか。

不登校は最後の抵抗
  こうしたいじめに対する最後の抵抗が不登校。その共通した症状は、朝学校に行く時間になると、発熱、腹痛となる⇒昼間は寝て夜起き出すという昼夜逆転の生活⇒周囲の眼が冷たくなり、人間不信になる。
  いじめだけが原因ではない。親世代にも原因があるのだろう。ほらよくあるでしょ。自分が果たせなかった夢を子どもに過度に期待したり、いい学校に入ればいい企業に入れるとか、高い給料を得てほしいなど、そういう得手勝手な親の思い。権利を振りかざし、責任を他人に転嫁するという風潮。自分の生活と権利に重点を置いた子育て。子どもは勉強さえすればよい、家の手伝いはしなくてよい式の子育て。これが子どもの心を窮屈にしているのではないか。

子どもを信ずる
  全て規格に当てはめるという日本の社会構造の中で、個性を持った子どもは、はみ出し人間として、いじめの対象となり排除されがちだ。
  不登校から立ち直った子どもの母親は言う。「子どもの言うこと、やることの全てを信じてあげてほしい。誰が何と言おうとも、親だけは子どもの味方になってやってほしい。こういう子どもになれと要求するのではなく、ありのままの子ども、その全てを愛してほしい」と訴える。
  ある専門家は「ほめ言葉の上手なお母さんになってほしい。子どもを叱るのではなく「何故こういうことをしているんだろう」「何をしたがっているのか」など見えざるものの裏側が何かを考えてほしい」と呼び掛けている。

 こじつけ先生は、団塊の世代の影響が孫世代までに及んでいることに驚きを感じたことから、自身が持っている古いデータを参考に今回の高座のテーマに不登校を取り上げたもの。こじつけ先生が言わんとしていることは、問題の現象だけに捉われず、本質的な面を掴み、人を大切にする対策を講じてほしいと願っているとさ。ではまたバイバイキ~ン


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