2023年12月25日
こじつけ先生の世相ナンチャッテ高座その7
い・ろ・は 2023世相カルタ
今回はちいとばかり2023年を振り返る「い・ろ・は世相カルタ」をとくと紹介いたしますぞ。御用とお急ぎのない方も急ぎの御用のお方もしばし手を休めて独断と偏見の軽ちゃあ流世相カルタを聞いて下されよ!
い いろいろありました2023年 世相カルタでまとめると
ろ ロシアのウクライナ侵攻 反転攻勢あるものの 長期化の様相
は パレスチナ イスラエルとハマスの戦闘 犠牲はいつも民間人
に 2024問題 いよいよ深刻化 まずは物流改革から
ほ ホストクラブにはまった女性 「立ちんぼ」(売春)が増加
へ ペッパーミルパフォーマンス ヒット商品
と トラ(阪神) 38年ぶりに日本一
ち 地球沸騰化 気候変動で世界的に大災害発生 COP28「化石燃料からの脱却」で合意
り 竜(ドラゴンズ) 来季は昇竜を期待
ぬ ぬくぬくと私腹を肥やす政治家 政治資金パーティ収入不記載 議員にキックバック(還流)
裏金疑惑の派閥に次の言葉を与えよう
「なんぞ悪い考えを起こす連中はいつも面倒くせえ手を思い付き、その考えに酔って糞溜(くそだ)めに嵌(は)まるんでさあ。小悪党は、必ずしち面倒臭い道を思い付きやがる・・・馬鹿げた話だ」(ある時代小説の一節)
る ルポの東芝 上場廃止 技術を活かせ 再出発
を おかしいぞ 東電原発訴訟の高裁判決 核汚染の責任は誰か
わ 忘れられない 伊集院静氏逝去 かっこよかったね 洗練された文章が好き
か 環境破壊が続く世界 地球温暖化対策は待ったなし
よ 横綱休場でも 若手が盛り上げる大相撲
た 谷村新司さん逝去 昴へ旅立つ
れ レンジャーズ(米大リーグ) ワールドチャンピオン いつも話題の中心は大谷翔平選手
そ 「増税メガネ」の総理 減税連呼もむなしく聞こえる
つ 強い意志 広い心 高い理想がない総理
ね 熱帯雨林が消えていく ワリバシ文化の見直しを
な 内閣改造後2か月で政務三役辞任 岸田政権末期症状
ら ライドシェア タクシー不足解消につながるか
む 難しい問題は生成AIが解決 科学技術の進歩は人類に救いを与えるか
う 打つ手なし 裏金疑惑の岸田政権 支持率20%台 いつまで持つか
ゐ いじめ文化の宝塚歌劇団 過重労働・パワハラで団員急死
の のん気 根気 元気の三気人生を
お 大谷翔平選手 MLBア・リーグのMVP受賞 史上初の2度目満票で選出 ドジャースへ移籍(10年総額 1015億円)
く クマ 住宅街に出没 山に餌なし 人との共存は難しい クマった
や 闇バイト 特殊詐欺に駆り出され逮捕
ま マイナンバー不信感つのる 大丈夫?河野太郎大臣殿
け 経済対策不評 来年6月から減税だって その後は増税かね
ふ 不登校 小中29万9千人 過去最多
こ 声だし応援解禁 4年ぶり ストレス発散
え エッフル姉さん 公務より観光優先
て 電動キックボード解禁 違反、事故多発
あ 「安心してください。はいてますよ」イギリスで大受け
さ 侍ジャパン WBC優勝
き 議員の適格性欠く 不倫・公選法違反・滞納の政務三役辞任 裏金「頂き」議員もいるってね
ゆ 許せない 高齢者を狙うニセ電話詐欺
め めでたきことは少なし 家族葬のこの頃
み 水不足の琵琶湖 これも地球温暖化の影響か
し ジャニーズの性加害問題発覚
ゑ エネルギー高騰 家計を直撃 小遣い減額
ひ ビッグモーター 保険金不正請求問題発覚
も 猛暑 40度超えは当たり前 地球沸騰化
せ 「税」今年の漢字 増税 減税 行方をしっかり見ましょう
す ストレスが過労死の第一歩
ん 運と度胸と+αで来年も頑張りましょう
番外編
で 定年までのカウントダウン 計画的な生活設計を
は 馬券と宝くじで夢を買う
ら 来年こそはと希望を持って
い 偉丈夫と胃が丈夫は大違い
ね 年休を取って海外旅行の夢を見る
ん 運だけじゃ出世できないサラリーマン だけど夢や希望は持て
2023年12月22日
モノ申すオジサン物語パート6
市役所改造案
衝撃的内容 これはクーデターか!?
モノ申すオジサンことモノジーは今日もチャリオ君に乗って、こころ旅の火野正平になったかのように役所へ。自称オンブズマン又はチェックマンであるが、人は「昔語り人」とか「物好き」とか言う。まあ、どちらでもいいけどね。
今日はなぜか興奮しているようで、庁舎内に入るなり、受付へ。「姉ちゃん、役所内でコンビニじゃなくてさ。ミニ何とかを出している職員を呼んでちょーせ」。「私はお姉ちゃんではありません」と名札を示して、「本日のご用はなんでしょうか」と受付嬢。一発かまされたモノジーは「すんまへん。ちょっと、呼んでいただけませんか」と低姿勢。そこへ偶然かどうか不明だが、役所内でミニコミ紙を出しているという職員がやってきた。
モノジー「君、キミ、ちょうどいいところに来てくれたな。キミに見せたいものがあるんだ」
ミニコミ職員「何でしょうか。記事のネタになるのならお伺いしますけど」
モノジー「あのな、名前は分からないけど、ワシあてに大変驚くべきものが送られてきたんじゃ。握りつぶすにはあまりにも惜しいし、かといってこの衝撃的内容を公表して混乱させても・・・。そこでキミに見せて、その当否の判断を委ねようと思ったのよ」
以下、その内容を紹介する。
「私がモノジーさんにこの『○○市役所改造案』なるものを送るのはある日、市役所内を歩いていたとき、偶然この改造案が通路に落ちていたのです。私は単なる市民ですが、市の封筒に入っていたマル秘のゴム印を押した文書を見て、これは大変だと思い、最近評判のモノジーさんに送って見てもらった方がいいだろうと失礼ながらポストに入れさせてもらいました」との送り状。
「○○市役所改造案」とは
1ページ目の呼び掛け文というか檄文というか、それらしきものが過激に書かれている。さわりを紹介すると、
「・・・我々はこの閉塞的状況を打開するためにあえて立ち上がった。このままでは市長始め幹部連中のパワハラで、真面目な職員は病気になってしまう。我々は市民の幸せを願って、日々公務の仕事をしているが、幹部(患部とも言う)が後ろからタマを撃つようではまるでロシアの戦闘のようではないか。我々を犬死させるのか。・・・諸君、これでいいのか」何が言いたいのか、よく分からないが、どうもクーデターのような気がする。
給料は年俸制へ
第1条の目的には「市の発展を期し、市民の幸福と公共の福祉の増進のために市の機構を改造することを目的とする」とあり、第2条の機構では「国のタテ割り行政に追随した今の機構を改め、部課長制を廃止し担当制とする」とある。そうするとサラリーマンの憧れである花の課長はなくなるのか。WBCでは大谷選手が「憧れるのはやめましょう」と言ってたけど。何十年も前にトヨタが部課制を廃止してフラット制にしたことがあったが、その後、どうなったのだろうか。第3条には「給料の格付けは本人申告による年俸制とする」。これはエライこっちゃ。大リーグの大谷選手のように7億ドルの職員が出たらどうするのだろう。それは夢の夢として、高額な給料を申告するアホはいないと思うし、それを認める首長はいないだろうが、首長と同じ額を要求する職員はいるかもしれない。だって、勤務評価の自己申告で満点を記載した職員だっていたからね。もっとも自己評価とは別の上司の評価では中位だったとか。自分の力を給料に置き換えるのは難しい。同期のアイツより少し多くというのが関の山か。
清廉潔白 人倫の道
とまれ、話をもとに戻す。以下、条文にならぬ条文が続く。例えば、第30条の男女交際では「職員は清廉潔白をもって律し、くれぐれも世間の風潮に惑わされることなく、奉仕者として勉励すべし。男女の間にあっては人倫の道に外れることなきよう務めるべし」といきなり古文調で定めてある。小生の脳裏に数組のカップルが浮かんだことは否定できない事実だった。どこどこの駅で待ち合わせていたぞという公然の秘密カップルのことだ。先へ急ごう。
服装を定めた条文もある。第69条がそうだ。「男子は黒若しくは紺以外のズボンとし、シャツは白以外とする。女子は膝上10センチのスカートとし、上着はセーラーとする」。こいつ何を考えているんだ。男子はクジャクみたいにド派手な格好になってまうがね。女子のスカートは全面的に賛成で異議なしだが、上着のセーラーはきっと作者が案に詰まって生徒手帳を模写したのだろうか。とまれ、この個所はセクハラの疑いが出そうだ。
一日一回善行
この中でキラッと光るものもある。第85条の特別休暇だ。「特別休暇として、勤続年数に応じた休暇を付与する」。続いて、第86条の特別手当も見逃せない。「特別休暇を取得する者には、特別手当を支給する。なお、その支給額は別に定める」とある。その額が明らかでないのは残念だが、その姿勢は評価したい。
変わったところでは、ボランティアを定めている条文がある。「第101条 職員は、一日一回善行をすること。また、月一回ボランティア活動に参加すること」とある。大体ボランティアは自ら行うもので他から強制されてすることではない。余計なお節介だが、こうでもしないと超高齢社会には対応できないかもと思ってしまう。福祉型社会は結構疲れるものだ。
目を通すのに少々疲れを感じた小生は、最後の条へと移った。最後の200条は罰則だった。「以上の条文に従わぬ者は国際平和維持活動(PKO)に参加させることとする」。こんなバカな。ロシアによるウクライナ侵攻やガザ地区でイスラエルとハマスの戦闘に参加せよってことかよ。これは明らかに、実に明白に憲法違反だ。こんな改造案は認めるわけにはいかない。ミニコミ紙の発行者として、これを世間に公表し、こんなバカげた改造案は葬り去るべきと思うが、モノジーさんはどう思うか。ひょっとしてモノジーさんが作ったんじゃないの」と逆質問した。
モノジー曰く「さあーて誰が作成したか分からんが、読み物としては面白いとちゃうの。ミニコミ紙に載せたら。ではよいお年を」とチャリオ君に乗っていずこへ去ったそうな。
2023年12月19日
こじつけ先生の世相ナンチャッテ高座その6
気候変動を考えるパート2
気候民主主義とは何か
若者の行動
気候民主主義って言葉はご存じであろうか。今、世界では若者を中心に、気候変動に対する危機感から気候を民主的に考え行動しようという運動が始まっている。
2021年11月、イギリスで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)の会場近くで、気候変動に関わる活動家であるスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんをはじめとした世界中の若者が地球温暖化対策を求めて行動を起こした。日本からも若者が気候変動を今止めないと次世代に希望はないとプラカードを手に参加した。また、日本においてもイギリスのグラスゴーで行われた大規模デモに呼応して、東京で若者グループ(フライデーズ・フォー・フュ―チャー、FFF)のメンバーが二酸化炭素を大量に排出する石炭火力の廃止を訴えた。
気候正義
なぜ若者は抗議の声を上げ始めたのだろうか。気候変動が悪化の一途をたどっている現在の危機的状況を認識し、デモ行進や集会を行う若者は何を求めているのか。彼らのスローガンに一つに気候正義がある。耳慣れない言葉だが、その意味するものは、先進国が温室効果ガスを大量に排出する一方で、途上国は深刻な影響を受けていること、富裕層や中流階級が温室効果ガスを大量に排出しながら便利で快適な生活を送っているのに対し、低所得層や少数民族は深刻な影響を受けている状況は不正義であって正さなければならないという意味が込められている。
しかしながら、日本国内の若者からの抗議や行動といった動きはあまり見られない。参院選や衆院選においても気候変動への言及や争点化が少ないのは気候変動への危機感が薄いからだろうか。そのような中にあって、FFFのメンバーは環境への意識の高い若者が投票に行くことで政治の目が向くと考え、若者世代に投票を呼びかけている。
気候市民会議で気候変動を語ろう
気候変動+市民参加=気候市民会議が各地で開催されている。地球温暖化が原因と見られる気候の変動は、日本中で、世界中で起こっている。このままでは気候の危機へと変貌し、取り返しのつかない事態へと進む。市民に何ができるだろうか。共に考え、学び、話合い、そして行動するために、気候市民会議が開催されている。
始まりはヨーロッパからで、英国で2020年1月から5月にかけて気候市民会議が議会下院の主催によって開催されたのが始まり。ユニークなのは参加者の選定で、国全体の縮図となるよう16歳から79歳までの108人を無作為抽出した。会議は4回開催され、気候変動などの基礎的な学習、テーマごとのグループ討議、個々人の投票という3つのステップを繰り返すもので、最後にまとめた提言を議会や政府に提出するもの。
日本各地でも気候市民会議が開催
日本でも各地で開催されているが、ここでは札幌市の例を紹介する。2020年11月、12月に気候市民会議札幌2020実行委員会が開催している。参加者は札幌市全体の縮図となるよう、16歳以上の市民を対象に性別や年代などのバランスを考慮し20人選出(無作為抽出、抽選)した。会議は3つの論点を討議するもので、情報提供とレクチャー、グループ討議、投票という順で、これを繰り返し行うもの。結果は、報告書を作成し、札幌市に提出して気候変動対策に活用するもの。
札幌市を皮切りに、武蔵野市、所沢市、多摩市、川崎市、厚木市、日野市などで開催されている。
気候若者会議が政策を提言
ヨーロッパでの気候市民会議に刺激され、日本版気候若者会議がある。この会議の目的は、気候変動対策を協議する若者同士の意見交換の場、環境政策の早期実現、開かれた議論の場、世論喚起で、間接民主制を補完する対話による直接民主制として機能することにある。1回目を紹介すると、2021年5月から8月にかけて、全国の大学などから108人がオンラインで参加し、10回にわたり、気候変動対策や民主主義、教育の在り方などを議論し、70項目の政策提言をまとめ、政府や各政党に提出された。
まだ、歴史は浅いものだが、こうした若者の動きが各地で芽生えていくものと期待したい。
日々刻々と変化する気候変動。地球温暖化をどのように防いでいくのか。パリ協定の合意(産業革命前からの気温上昇を1.5度未満に抑えること)の実現をどのような道筋で進めていくのか。こじつけ先生は心配でたまらないが、こればかりは一人一人の心掛けで、身近なところからできる範囲でやるしかない。未来の世代からよくやってるねと評価されるようにしようとこころの中で誓ったとさ。ではまた
2023年12月17日
こじつけ先生の世相ナンチャッテ高座その5
気候変動を考えるパート1
地球規模での気候変動が続出
地球温暖化対策は待ったなし
11月、気候変動に関する国際的な二つの記事が新聞(中日)に掲載された。
一つは、国連の気候変動枠組み条約事務局が14日に発表したもので、その要旨は次のとおり。
・各国が掲げる最新の温室効果ガスの排出削減目標が達成できた場合、世界全体の排出量が2020年代に減少に転じる可能性が高いこと。
・一方で今世紀末の気温上昇を1.5度に抑えるパリ協定の目標に必要な削減量には遠く及ばないこと。
・今月末から始まる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は世界の対策の進捗評価が主要議題となること。
もう一つは、世界気象機関(WMO)が15日に発表したもので、その要旨は次のとおり。
・地球温暖化を招く温室効果ガスの二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の大気中の世界平均濃度が、2022年は観測史上最高を記録したこと。
・温室効果ガス濃度の高止まりが続けば、今世紀末の気温上昇を産業革命前と比べ1.5度や2度に抑えるパリ協定の目標値を、大幅に上回ることになること。
・緊急の課題として、(石油などの)化石燃料の消費を削減していかなくてはならないこと。
・二酸化炭素濃度は産業革命前の水準から比較し、初めて50%以上増となったこと。
・現在よりも気温が2~3度高く海水面が10~20m高かった、300万~500万年前の状況に匹敵すること。
このところ気候変動や地球温暖化に関し、コロナ禍以降、あまり関心がないように見受けられたけど、地球温暖化は間違いなく進んでいる。夏の暑さ、大雨、豪雨、干ばつ、四季の変化など地球温暖化が原因と見られる気候の変動は、私たちの身の回りで、日本中で、世界中で起こっている。このままでは気候変動は気候の危機へと変貌し、取り返しのつかない事態へと急速に進行する。そこで本高座でも気候の変動について考えたい。
パリ協定の数値目標
2015年に合意されたパリ協定では、世界全体の目標として、産業革命前からの気温上昇を1.5度未満に抑えることが決定され、2018年に公表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書では、この目標を達成するためには、2050年までに二酸化炭素の実質排出量をゼロにすることが必要とされた。
日本の動向
地球温暖化対策や脱炭素化の日本の動きは、2020年10月、当時の菅首相が2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラル(脱炭素社会の実現)を目指すと所信表明で述べたところから、国、自治体、事業者、市民生活などにおいて、脱炭素社会の実現に向けて取組が推進された。
2021年4月、当時の菅首相は、2030年度の温室効果ガスの削減目標について、2013年度比で46%削減することを目指す。さらに50%の高みに向けて挑戦を続けていくとの方針を表明した。2019年度時点で14%減だったので、10年で32%分を積み増すことになり、削減ペースを急加速させることになった。
岸田首相は2021年10月、新たなエネルギー計画を閣議決定した。その内容は、2030年度の電源構成の目標を明確にしたもので、再生可能エネルギーは2019年実績の18%を36~38%へ、原子力は6%の実績を20~22%へ、火力は76%から41%へと変更するもであったが、原発の再稼働や石炭火力への依存が問題視された。
COP28 パリ協定「1.5度目標」に向け「化石燃料脱却」で合意
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催されていた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が12月13日、パリ協定に沿って気温上昇を1.5度に抑えるため「化石燃料からの脱却」などを進めるとした成果文書を採択し閉幕した。
合意のポイント
・2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするため、エネルギーシステムの化石燃料からの脱却を2020年代に加速する。
・現状ではパリ協定の「1.5度目標」は実現できず、2030年に温室効果ガス排出を2019年比43%減、2035年に60%減にすることが必要
・排出削減対策が取られていない石炭火力発電所の段階的削減に向けた努力を加速する。
・世界の再生可能エネルギー容量を2030年までに3倍にする。
・各国の地球温暖化対策の進捗評価文章を踏まえ、新たに2025年度までに排出削減目標を作成する。
課題も多い
・新たな排出削減目標は1.5度目標達成可能な水準まで引き上げられるのか。
・先進国と途上国の相互不信が解消できるか。
・排出削減対策が取られていない石炭火力発電所の段階的削減措置について、いつまでにどの程度行うのかの道筋が見えていない。
評価できる点
・世界の再生可能エネルギーの容量を2030年までに3倍にするという有志国誓約(116カ国。日本含む)がまとまったこと。
・従来の石炭のみを化石燃料としていたことから、その対象を石油や天然ガスを含む化石燃料全体としたこと。
・開催国である石油産出国のUAEにおいて、石油や天然ガスを化石燃料としたことは産油国と非産油国との溝を埋めることになる。
迫力を欠く日本の脱炭素
岸田首相の演説のポイント
・排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設の終了
・再生可能エネルギーの主力電源化や原発活用の推進。世界で2030年に再生可能エネルギー容量を3倍とする目標に賛同
・世界は1.5度目標の道筋に乗っていない。2030年までの行動が決定的に重要
問題点 影が薄い日本の存在
・石炭火力発電所の新規建設終了の年限を示していない。既存の石炭火力発電所の廃止に言及していない。
・2030年までの行動が決定的に重要と言いつつも、その具体策が提案できていない。
・毎回、日本政府は手土産として拠出金を持参する。今回も気候変動被害を救済する基金に1千万ドル(約14億7千万円)を拠出するようだが、相変わらず金さえ出せばいいとの姿勢が見え見えで政策力が乏しい。
・岸田首相演説に今回も対策が後ろ向きな国に贈られる「化石賞」が贈られた。贈呈する国際的な環境NGO(非政府組織)「気候行動ネットワーク(CAN)」は、岸田首相の姿勢を「環境に優しいと見せかけるグリーンウォッシングだ」と批判している。
こじつけ先生は、地球温暖化がこのまま進むと孫や将来世代の存亡に関わると心配している。日頃から、ごみの分別や環境美化に心がけているが、何とももどかしい思いがある。若者の奮起を促したいと考えているが、それは次の高座でお待ち願おう。ではまた
2023年12月14日
雑談の広場その19
サンタクロースっているんでしょうか?
12月に入ると、「サンタクロースっているの?」子どもからこんな質問を受けたことが誰でもあるでしょう。あなたが子どもの頃、父や母に同じ質問したのかも知れません。そのとき、親はどう答えたのか・・・お菓子が入ったブーツをもらったのは覚えているけれど、答はどうだったのか。あなたは子どもの素朴な質問にどう答えるのでしょうか。
今から126年前、この質問に答えた新聞社がありました。1897年9月21日、ニューヨーク・サン新聞の社説は、ニューヨークに住む8歳のバージニア=オハンロンという少女の質問に対してこう答えました。
「サンタクロースなんていないんだという、あなたのお友だちは、まちがっています。きっとその子の心には、いまはやりのなんでもうたぐってかかる、うたぐりやこんじょうというものが、しみこんでいるのでしょう。うたぐりやは、目にみえるものしか信じません。うたぐりやは、心のせまい人たちです。心がせまいために、よくわからないことが、たくさんあるのです。それなのに、じぶんのわからないことは、みんなうそだときめているのです。・・・そうです。バージニア。サンタクロースがいるというのは、けっしてうそではありません。この世のなかに、愛や、人へのおもいやりや、まごころがあるのとおなじように、サンタクロースもたしかにいるのです。・・・この世のなかにあるみえないものが、なにからなにまで、人があたまのなかでつくりだし、そうぞうしたものだなどということは、けっしてないのです。・・・ただ、信頼と想像力と詩と愛とロマンスだけが、そのカーテンをいっときひきのけて、まくのむこうの、たとえようもなくうつくしく、かがやかしいものを、みせてくれるのです・・・」
子どもの頃見えていたものが、大人になると見えなくなるものがあります。また子どもの頃信じていたことが、信じられなくなることもあります。信頼とか想像力とか愛、ロマンスといった概念がどんどんなくなり、物質的欲求にこだわる大人にはなりたくないと思う12月です。
*参考 「サンタクロースっているんでしょうか?」中村妙子訳 偕成社刊)
2023年12月10日
こじつけ先生の世相ナンチャッテ高座その4
「いただき女子」VS「いただき議員」
「いただき女子」リリィ 1億5千万円
今年の世相で話題をさらったのが「いただき女子」リリィの「おぢ」からの「いただき」で、現在公判中だが、中高年の「おぢ」から約1億5千万円を詐取(貢がせた)したとか。リリィはその詐取金のほとんどをホストに貢いでいる。本人曰く「ホストをナンバー1にすることに自分の価値がある」とか。だまされた「おぢ」たちは純粋にリリィを苦境から救おうと、コツコツ貯めたお金を貢いだのだろう。世間的に見れば、バカな奴らだと思うのが普通だ。本人たちの騙されたと分かっていても、リリィを救いたいという気持ちに対し、切ないなあと感じる。年明けには判決が下されるようだが、実刑は免れないのだろう。
このリリィが出した「おぢ」をだますテクニックのマニュアルを購入して実践したある女子の裁判も進んでいて、マニュアルどおりに実践したところ、「おぢ」たちはコロッと騙されてお金を貢いできたとか。
かつてこの種の犯罪は、男が主導した「美人局」であったが、いまでは逆転し、おなご(女子)が主導するようになったのか。また、その動機はホスト通いをするためと聞くと、その心のうちは何だろうか。単に男が欲しいだけではないだろう。寂しい心があるのだろうか。こうして、ホストの歓心を買うために、詐欺を働くおなごがいる一方で、「たちんぼ」(売春)で稼ぐおなごもいるとのこと。そしておなごを買う奴らもいる。所詮は男と女の宿命のゲームだろうか。まっとうに働けよと言いたいが、所詮は爺のつぶやきに過ぎない。
「いただき議員」は政治から身を引け
今、世間を騒がせているのが自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー裏金問題だ。松野官房長官を始めとした安倍派幹部6人がパーティー券販売ノルマを超えた売り上げからキックバック(還流)を受けたとの疑惑である。
先月、政治ジャーナリストから「検察は大物議員を狙っている」との観測が流されていた。東京地検特捜部はエース級の検事の投入や全国からの検事の動員で捜査に当たっているとのこと。臨時国会閉会後の13日以降、疑惑議員の任意聴取、家宅捜査に入ると思われる。もうすでに秘書らの任意聴取も進み、容疑を固めているのではなかろうか。
岸田首相はうつろな目で記者会見をしているが、松野官房長官らの安倍派からの大臣や党役員の更迭、内閣改造の検討などドタバタが始まったようだ。岸田政権の崩壊は止められないだろう。水面下では、次期首相の選定が進められているらしい。かつて、ロッキード疑惑で田中政権が倒れた後は、当時小派閥であった三木武夫氏が首相となった。その後、三木氏から海部俊樹氏へと小派閥ながら、自民党の危機の折には小派閥から首相が選出された経緯から見ると、岸田首相の後は冷遇されている石破氏あたりにお鉢が回るかもしれない。しかし、人事だけで済むような問題ではない。本質的な問題は、政治とカネの問題に正面に取り組めるかどうかなのだ。小手先だけで済ませようとすると、国民から見放されるだろう。
「いただき議員」は政治から身を引いていただきたい。
だらしない野党に意見する 野党議員は全員辞任せよ
国会の質疑を観ていても、野党議員の追及は甘いというか、何とももどかしい。週刊誌ネタなど報道に頼っているから、質疑の追及も緩いものになってしまう。かつて、「総理、そーり」を連呼した議員のようになぜ食い下がらないのか。政治とカネの問題は自民党だけのことではなく、野党にも及ぶので、腰が引けているのかもしれない。衆議院議員の任期は後半に入っている。いつ解散があってもおかしくないが、岸田政権は解散できる状況にないので、今こそ国民に信を問うべきではないか。自民党が解散に応じなくても、野党の議員全員が辞任すれば国会は持たないだろう。解散して国民に信を問うことになるだろう。そこまでの断を下せるのか。野党にも問いかけたい。
真面目な議員もいる
こじつけ先生は、政治とは距離をおいていたが、知り合いから誘われて政治資金パーティーに何度か出たことがある。自民党系のパーティーは業界や地方議員など2千人位をホテルの大会場に集めて行われるが、チケットの売り上げはその倍以上と言われている。しかも、利益率は9割以上とか。パーティーの飲食は大したものはなく、テーブルごとに大皿で寿司、から揚げ、つまみ、ケーキなどが出されているが、乾杯前からつまみ食いがされ、乾杯とともに一斉に箸を伸ばすので、すぐになくなってしまう軽食パーティーであるが、主催者から見れば「打ち出の小槌」なのだ。
こじつけ先生が感心したパーティーがある。自民党系議員のこじんまりとしたパーティーで、主催者は、大臣経験はあるものの、辛口な人なので、党内では優遇されていないが、なぜか国民には受けるので、メディアにはよく出ている人だ。議員は丸テーブルを回りながら、出席者に挨拶をしており、こじつけ先生のテーブルに来た時、なぜかバタッと倒れてしまった。あれぇ、どうしたの?まさか脳内出血かと会場は騒然となったが、周りに支えられて議員は立ち上がりながら、「今日は朝から面会やら会議やらで昼食を取る間もなく、ここに来たので、腹が減って目がグルグル回ってしまって、醜態を見せました」と述べた。真面目な議員がいるものだとこじつけ先生は感心したとさ。ではまた
2023年12月09日
こじつけ先生の世相ナンチャッテ高座その3
政治資金パーティー券問題
裏金疑惑 松野官房長官に1000万円還流
更迭へ 岸田政権危うし 一気に政局化
報道によると、「裏金疑惑をめぐっては、松野氏自身にノルマ超過分に応じて5年間で1千万円超の現金のキックバックを受け、関連団体の政治資金収支報告書に記載していなかった疑いが浮上」し、「自民党安倍派(清和政策研究会)が政治資金パーティー券のノルマを超えた販売利益を議員側にキックバック(還流)した裏金疑惑で、岸田文雄首相は還流を受けていた疑いが浮上した松野博一官房長官を交代させる検討に入った」とのこと。松野長官は連日の記者会見や国会答弁において、疑惑の発覚後は「政府の立場として個々の政治団体、個人の政治活動に関する事柄でのコメントは差し控えたい」「派閥の対応に関しては今の私の立場から申し上げることは控える」など、事実上の回答拒否を繰り返し、与野党から説明責任を果たしていないとの批判が上がっていた。
官房長官とは
内閣を構成する閣僚の一人で、政府全体の総合調整を担う「内閣の要」だ。首相官邸に常駐し、首相を間近で支えている。また、内閣官房報償費という「機密費」も管理する。いわば官僚に対しにらみを利かし、金銭面で与党議員の面倒も見ているとか。内閣のナンバー2的存在だ。
「カミソリ」後藤田正晴を知ってる?
官房長官はまさに国家運営を裏から牛耳るキーマン。
古い話で恐縮だが、35年位前に「カミソリ」と言われた官房長官がいた。後藤田正晴氏だ。警察官僚のトップである警察庁長官を経て、田中政権下の官房副長官、中曽根政権下では内閣官房長官として政財界のみならず、労働界にもにらみを利かし、「行革」を断行した人物である。後藤田が書いた「政治とは何か」(講談社)から、稀代の官房長官と言われる男の生きざまを紹介したい。
後藤田は日本を動かす実力者の一人で、味方にすればこれほど頼もしく、敵にすればこれほど怖い存在はない。だから当時の中曽根首相は、後藤田が田中派に所属していても、女房役の官房長官就任を要請し、自らの懐刀とした。
一言で表現すれば、総理の器でありながら総理になれなかった男だ。自身の本に「政治家ならば誰でも一度は総理総裁になってみたいと思うものである。私もあと十年早く国会に出ていたなら、必死になって総理総裁をめざしたかも知れぬ。だが、私が最初に衆議院に当選したのは61歳の時だ。・・・総理をつくる側に立つことによって、国家、国民のために尽くそうと考えた」と記している。事実、大平政権の誕生、中曽根総裁の再選、「行政改革」「政治改革」の断行など辣腕を振るった。
今思えば、当時は「行政改革」や「政治改革」が国家、国民のためになったかどうかは後世が評価すべきことであったが、現代では当たり前のことであり、これによって国の体制が一新されたと歴史的に証明できるであろう。
優れた情報収集
さらに後藤田について触れたい。
政治屋がゴロゴロしている自民党では当選回数こそが実力のランクであるが、裏の世界(防衛、公安)に通じている後藤田にはその理屈は当てはまらない。
彼の真価が発揮されたのが昭和58年9月1日に起きた大韓航空機撃墜事件だった。当時、官房長官だった後藤田にはいち早く防衛、公安筋から撃墜の情報が入り、その後の情報管理、マスコミ・世論誘導を行ったと言われている。
かねてから内閣官房の組織強化を考えていた後藤田は、この事件を契機にその強化を図ることに成功した。
後藤田の政治哲学の一つは「いかに情報を集め、そして的確な判断を下すか」である。
国民のために行政はいかにあるべきか
後藤田は自著の中で国民のために行政はどうあるべきかを次のように記している。
「自分の役所の窓からしか世の中を見ないという悪弊は是非改めてもらいたい。国民のために行政はいかにあるべきか、世界のなかで日本はどう生きるべきか、そして国内の安定のため何をなすべきか・・・。役人としての原点を十分に考え、行政府としてしっかりとその役割を果たしていかなければ、社会の役人に対する批判は一向に沈静すまい。役人に求められている責任を自覚し、時代に適応できる体制を是非作ってもらいたいと思う」
後藤田五訓
後藤田の部下であった初代内閣安全保障室長を務めた佐々淳行氏は自著の中で、後藤田が与えた訓示(後藤田五訓)を明らかにしている。
1. 出身がどの省庁であれ、省益を忘れ、国益を想え
2. 悪い、本当の事実を報告せよ
3. 勇気を以って意見具申せよ
4. 自分の仕事でないと言うなかれ
5. 決定が下ったら従い、命令は実行せよ
こじつけ先生は、自民党の政治資金パーティーの裏金問題で、内閣の要である官房長官が還流(キックバック)を受けていた疑いが発覚したことについて、政治がここまで堕落していたのかと愕然とし、あえて35年も前の政治家である後藤田氏を引き合いに出して、官房長官のあるべき姿を実在した政治家を通して知ってほしいと願っているとさ。ではまた
2023年12月07日
こじつけ先生の世相ナンチャッテ高座その2
忠臣蔵を検証する
松の廊下刃傷は乱心が原因
歴史・時代小説を乱読しているこじつけ先生は、忠臣蔵の吉良邸討ち入りの原因となった松の廊下刃傷事件はなぜ発生したのかについて、以前から疑問に思っていたので、師走の定番である忠臣蔵について今回の高座で考えたいとの口上。高座の始まり始まり。
忠臣蔵=赤穂浪士討入りといえば、日本人なら誰でも知っている歴史上の大事件だ。大石がヒーローで、吉良が悪という日本人好みの話だ。
忠臣蔵は二つの事件から成り立っている。「浅野刃傷事件」と「赤穂浪士復讐事件」だ。疑問は二点。
① 松の廊下刃傷事件は何故起きたのか。
② 大石は何故仇討ちをしたのか。
この疑問を解決するために推理の旅に出よう。
吉良悪人は芝居の創作
松の廊下刃傷事件は何故起きたのか。吉良悪人説でもいくつかの通説に分かれている。
㋑ 賄賂説・・・吉良が浅野に賄賂を要求したが断られ、浅野に嫌がらせをし、激怒させたとする説。嫌がらせの具体例として、
・金屏風を飾るべきところを墨絵と指示
・魚鳥料理を精進料理と指示
・畳替えすべきところをしなくていいと指示
などがあるが、これらはいずれも芝居のフィクションであり、事実ではない。かつて映画の忠臣蔵では「畳説」が取り上げられていたと小生は記憶している。
㋺ 怨恨説・・・原因は不明だが、浅野が吉良に怨恨感情を抱いており、それが当日松の廊下で爆発したとする説。
㋩ 塩田説・・・浅野家が開発した塩田製造法を吉良に教えなかったため対立したとする説。当時の塩田製造は自然条件に左右され、技術の差はなく、これが原因とは言えない。
これらの説はいずれも吉良悪人説が基にあるが、事実はどうであろうか。
ストレスから発作・乱心へ
三河地方では、吉良は名君といわれ、悪人ではない。事実、堤防を築き、用水を開いて干拓し、領民に慕われていた。
一方、浅野は短気と気まぐれの性格であり、年貢の取り立ては厳しく、領民は苦しんでいた。浅野家断絶と聞いて、領民は餅をついて喜んだといわれている。
㋑~㋩は根拠もなく、いかにも浅野長矩を悲劇のヒーローとするためのでっち上げである。
そこで浮かび上がってきたのが「精神障害説」である。浅野長矩は短気で気まぐれの性格の上「つかえ」という精神分裂病が持病であった。勅使の接待役という重職や厳粛な儀礼のため、ストレスが重なって発作が起き、乱心して切りつけたというのが真相ではないかと作家の井沢元彦氏は著作「忠臣蔵 元禄十五年の反逆」(新潮社刊、平成元年頃初版)で結論付けていた。
浅野家やその一族郎党の不幸は、この主君の乱心にある。吉良の責任ではない。いや、責任があるといえば、将軍綱吉の裁決(老中は乱心が原因だから処分の猶予を考えていたが、綱吉は乱心を認めず、即刻切腹を命じ、お家断絶とした)にあるといえよう。こうしてクライマックスの悲劇へと歴史は動いた。
主君は一代、お家は末代
では何故大石蔵之助は吉良討入りを行ったのか。その真意は仇討ちなのか。
大石は、浅野家にあっては家柄家老であり、実務を行う仕置家老と違って、普段は何もしないが、お家危急存亡のときに頼りになる存在だ。「主君は一代、お家は末代」というように大石にとって忠誠の対象は殿様個人ではなく、お家そのものだ。それ故、例えば殿様の金遣いが荒く、このままでは藩がつぶれてしまうとか、公儀へ謀反を企んでいてこのまま放っておけば取り潰しの運命しかないなどのとき、家柄家老は立ち上がって主君を押し込め、無理矢理隠居させて若殿を立てることもあるという。
幕府への抗議
とまれ、話がそれてしまったが、大石はどう考え行動したのか。主君の刃傷は乱心が原因によるものであり、切腹はやむを得ないとしてもお家断絶は前例(似たような例が以前にもあり、そのときはお家断絶になっていない)からいっても間違った裁決だ。長矩の弟長広の処分(閉門)はおかしいとして、幕府に対し、お家再興の嘆願を繰り返し行った。
しかし、幕府の考えは変わらず、長広は本家預かりとなり、大石の望みは絶たれた。ここにいたって仇討ちを主張する急進派を抑えきれず、討入りを決断した。その狙いは吉良を討つことによって綱吉に抗議をすることにあった。つまり、幕府が乱心を正気の行為とするなら、あれは刃傷ではなく、喧嘩だと考えようじゃないか。正気ならあんなところで斬りかかるはずがない。喧嘩なら喧嘩両成敗に従って、吉良も成敗されなければ片手落ちであり、幕府がそれをしないので代わって吉良を討つのは当然と考えて討入りを行ったのではないかと井沢氏は推理し、著作の中で「『それにしても可哀想なのは吉良ね』加奈がしみじみと言った。『本当だね。綱吉の身代わりにされたようなものだ。彼自身何の罪もないのに』」と文中の登場人物に語らせている。
家柄家老のような行動
何分、元禄15年12月14日(西暦1703年1月30日)は320年前の話だ。真実は分からない。
面白いと思ったのは、浅野と大石の関係だ。大石は浅野個人よりお家を優先した。これを現代の官公庁に当てはめると、公務労働者は住民に奉仕する立場にある。特定の個人や団体に奉仕したり、応援したりしてはいけない。職務遂行において住民誰にでも公平・公正でなくてはならない。トップや上級者が間違った指示や命令をするときは″家柄家老″のように行動できるだろうか。無理なことは無理と、できないことはできないと言えるだろうか。今の政権の暴走(国民の声を聴くことが大切といったのに)に誰が歯止めをかけるのか。歴史から何を学ぶのか。政治家一人一人に問いたいとこじつけ先生は思ったとさ。ではまた
*参考資料 井沢元彦「忠臣蔵 元禄十五年の反逆」(新潮社刊)
2023年12月03日
こじつけ先生の世相ナンチャッテ高座その1
徳川幕府と現代
本日の高座から世相をテーマに、軽ちゃあ通信らしく軽妙に軽くジャブを打つように世相を斬ってみたいとの思いで新たに始めます。最初は「徳川幕府と現代」の高座です。
中央の堕落
徳川幕府は鎖国を基本政策とした国是の基で、約250年にわたり安定した国家を運営した。それまでの戦国の世を統一し、朝廷と幕府の「大政関東御委任」という約束事の基で幕府を開闢(かいびゃく)した。日本の歴史上、戦乱のない平和な時代であったが、中央集権体制(幕藩体制)が崩壊した原因として諸外国の外圧(黒船来航、開港、和親条約等の締結など)や藩という地方政府への抑えが利かなくなったことが挙げられる。
現代日本の仕組みもちょっと暴論であるが、徳川時代と類似しているのではないか。体制運営として、徳川時代と異なる点は、参勤交代がないくらいのものでしょうか。えっ、何ですか。今でも首長がちょくちょく東京へ陳情に行くので、それも参勤交代のようなものとおっしゃるんですか。まあ、それは横に置いといて、これから高座のメインディッシュに入ります。
徳川幕府の中央集権体制が堕落したのは、簡単に言えば、老中などの旗本が私腹を肥やしたこと、政治そのものが賄賂で運営されていたことにある。現代の政治体制は民主的に運営されているが、今秋、内閣の政務三役が不倫、公職選挙法違反、繰り返しの滞納により辞任したように国民を裏切るような行為がある。また、最近の報道によると、政治資金パーティ券収入の不記載及び議員への還流が問題視されている。これは氷山の一角だ。政治とカネの問題は厳しく検証してほしい。
将来に対する展望が不透明な状況にある。国民に将来の日本の国家像を示せないのは、政治家の使命感の欠如や「公」というものの考え方の貧困化、また 国民を豊かな社会へ導く政策や少子高齢化という課題に対する貧弱な政策、つまり中央官僚のアイデア枯れ、消耗状態があるように思われる。また、財政面においても、国の借金(国債・借入金など)は2023年6月末現在で1276兆3155億円であり、国民一人当たりの借金は約1025万円となっている。さらに現政権は財政再建どころか支持率回復のために国債を原資に「減税」という大判振る舞いをしようとしている。国民の一人として、還元してもらえるのは嬉しいが、こんなことでいいのかな、いつまでこんなことを続けるんだろうかと不安に感じる。個人的には全国民に共通する消費税の減税の方が、効果が高いと思うけどな。ワシを参与にしてくれれば助言するんだけどな。余談です。
分権のススメ・・・自ら考え行動する
ここで重要なことは、中央政府と地方政府の役割、権限を分権化することである。この地方分権については、28年前の1995年5月の国会で地方分権推進法が成立し、その後、現在に至るまで権限移譲などが行われているものの、相変わらず国頼みの「居眠り自治体」の姿があるし、補助金の名の下で自治体を管理する国の姿勢がある。法令の上では、国と自治体は対等なんだけど、実態は所得税などの税収を賦課徴収する権限のある国が地方の面倒を見てやることになり、国に面倒を見てもらうのが当たり前だとする地方の姿がある。それぞれの役割や責任を明確にして互いに補完するという補完性の原則が欠落している。情けないけど、これが実態だ。ではどうする?
自ら政策を考え実施する自治体へと転換することができるかどうかがポイントだ。そして自治体同士で連合・連携して、幕府に対する薩長土肥のように結束して国から権限とお金(税収の賦課徴収権)を分割するという分権をススメることに尽きるだろう。
役所内の分権
役所内の分権について、最近首長のパワハラなど破廉恥な案件が続いている。公選法違反とかセクハラとか、首長だから何をしても、何を言ってもいい訳でない。こうしたことが起きるのは、首長は「大統領」に比較されるほどに権限が強く集中しているからであり、権限の集中は独裁者を生み出す要因となる。首長をチェックする議会は、首長の与党を自称する議員が多数を占め、与党会派が首長の政策に反対できないよう議員を締め付けているらしい(見返りはポストや現ナマかな)。また、政策や施策を進めるうえで、何事も首長の決裁を経てからでは手間暇がかかりすぎるので、機敏に対応できるよう、権限を分散化した方がより機能的に組織が働くのではないか。首長の権限の一部を部長に、部長の権限を課長に、課長のそれを部下に・・・ちょっとキリがありませんが、まあ組織が機能的に動く程度に分権化を進めることが求められていると思う。
幹部(場合によっては患部ともいう)職員は「オレの存在意義がなくなる」と言うが、じゃあ、アンタがいないと市の機能がマヒするのか。市民の立場に立って職務に励むことが重要で、アンタのためにポストがあるのではないと声を大にして言いたい。
第三の分権
家庭内においても男女の分権が必要ではないか。真の意味で男女参画型社会を確立するために、女性の社会進出を進め、重要な地位を占めてほしい。家庭内でも、家庭それぞれで家事の役割分担など話し合ってはどうか。円滑かつ円満な老後のために。
ちなみに、こじつけ先生の家では、食事の後片付けが先生の仕事とか。ではまたいずれ
2023年11月30日
こじつけ先生の処世術高座その40
50代からの仕事術
40代まではガムシャラに働いてきたサラリーマン。50歳からは今までの成果で行く道が決まる。重役陣に食い込めるか、最前線のままで定年を迎えるのかの瀬戸際だ。どうする?そこでこじつけ先生の50代からの仕事について考えようとの口上で高座の始まり始まり。
50代からの仕事の構え
50代の中高年サラリーマンは仕事の意義を見失いつつある。モチベーションの低下が問題視されている。なぜか。管理職の実態を見ると、部長職に就くのは早ければ30代後半から40代後半にかけてその職に就く。大体、部長職の年齢構成比率は50代で27%くらい、50代でピークを打つと言われている。その後、60代では3~8%くらいまで減少する。部長職まで上り詰める人は少ないので、大体、課長職で打ち止めの人が大半ではなかろうか。深刻なのは、課長職で65歳定年まで到達できる人は少なくなっている。60歳になる頃から役職定年で部長や課長職から身を引き、決裁ラインから肩書なしのスタッフに移籍することになる。これは公務員の世界でも例外ではない。国家・地方公務員法が改正され、役職定年制がすでに導入されている。もちろん給料も減給となる。聞くところによると8割支給となるらしい。管理職手当がなくなるので、手取りはもっと減ることになるだろう。手取りが減れば、人生設計に支障が来す方もあろう。世界で起きているような紛争が家庭内でも起きるかもしれない。ではどうする?
40代までは仕事で頑張ればそれなりに給料とか役職で報われてきたが、50代に入ると、頑張りよりその人の総合力がモノをいう。「運」も「ツキ」もその一つだ。役員というボードに入るためには、人脈や「運」の要素が大きく左右するだろう。部長から上のポストは狭き門。同期や前後の世代が部長のポストに就くと勝敗は決する。このご時世、転職したって今の地位と同じ職に就くことは難しい。仕事人間にとって出世の道が閉ざされたとき、どうするのだろうね。燃え尽き症候群になってしまうのだろうか。そうならないためにどうする?
50代からの仕事術・・・3条件を意識せよ
ある経営コンサルタントによると、50歳から自分らしくイキイキと働くための3条件があるとか。
① 自分のやりたいことをやろう。
② 自分が得意なこと、強みを活かそう。
③ 社会に貢献しよう。
これらの条件は相互に関連している。「やりたいことをする」⇒「得意、強みになる」⇒「社会に貢献する」⇒「認められる。仕事につながる」というように3条件が関連し合って伸びていくとコンサルの方は助言している。
仕事に快適性や健康管理を
仕事は趣味ではないから、3条件に合うような仕事を見つけよう。「50歳になってから考える」では遅い。40代の頃から意識して50代以降の仕事を見つけること。そのためには「自分がどんな人間か」を知り、どんな仕事が合っているのかを探ることだ。
別に転職する必要はない。長年の経験や実績から身に付いた「判断力」があるので、今の仕事をしながら、若い頃のような無理は避けて、仕事の環境を改善しつつ快適性や健康管理に努めることも大事だ。40代までガムシャラに働いてきたが、50代からは無理をせず、仕事を管理し、規則正しい生活や仕事に心掛けて60代以降の生活や仕事の在り方を見据える準備も大切ではなかろうか。
家庭を持つ方々は自分一人で決めるわけにはいかない。妻や子どもと話し合って判断しないと、家庭内紛争が起きるかもしれない。こじつけ先生にとってこの世で一番奥さんがおっかない(家内)のだ。クワバラクワバラ。ではまたバイバイキ~ン
2023年11月28日
雑談の広場その18
演歌の花道
少し人生に疲れた中高年諸氏へ
日曜日の夜9時、BSテレ東「演歌の花道」という番組が放送されている。昭和から平成にかけて放送されたものの再放送ものだ。アナログ放送当時、これを観るサラリーマンは多かった。当時は日曜日の夜10時からであった。これが金曜日や土曜日であってはいけない。明日からまた一週間が始まるなぁ、明日はあんな仕事があるなぁと頭の中でモゾモゾする日曜日の夜だからこそ、少し人生に疲れが出始めた中高年サラリーマンに受けたのだろう。
茶の間でグラスを傾けて、お父ちゃんは「演歌の花道」にチャンネルを合わせた。「演歌の花道」は来宮良子のどこか突き放したような独特の語りから始まった。これがホントにクサイせりふだった。
浮世舞台の 花道は
表もあれば 裏もある
花と咲く身に 歌あれば
咲かぬ花にも 歌ひとつ
人は流れて どこへ行く
ゆれる想いのかがり火は
思い出染める 恋かがり
水にきらめく 灯りさえ
なぜか身にしむ 心歌
お酒飲んだら 思い出す
夜の片隅 裏通り
あの歌聞こえる 思い出酒が
心の底まで しみじみと
なぜか身にしむ 心歌
とても言えといわれて言えるようなセリフじゃない。来宮は人生の辛さ、せつなさを低く太い声で押し出すように語った。これを聞きたいがためにチャンネルを合わせるファンも多かった。
酒、女、恋、不倫、涙、いじめ・・・妻も娘も息子も上司も部下もオレのことを分かっちゃくれない。中高年お父ちゃんは家族から冷たい目を向けられても、30分だけTVを独占したのだ。
現在、BSで30数年前の、当時の歌手を収録したそのものが再放送(おそらく何度も)され、若かりし頃の姿を見せてくれる。中高年諸氏はこれを観ながら、頭の中はタイムスリップしていることだろう。ささやかな幸せが嬉しいと思う。
2023年11月25日
雑談の広場その17
女王の国
あれはいつ頃だったのだろうか。日本がヒミコ以来の女王の国になったのは・・・
昭和、平成の頃、″マドンナ マドンナ″と面白がっていた男たち。国会議員を始め、地方議員、実業界など社会のありとあらゆる分野で男が威張っていた。オレたちが日本を世界のリーダーに引っ張り上げたんだぜと。それから数十年、気が付くと、日本は世界の趨勢から大きくズレはじめ、国際会議においても日本の男たちは肩身が狭い思いをしていた。国会議員の3割くらいは女性にしようかとか、女の社長はまだ早いから副社長くらいでいいんでねぇのとか、男たちが議論している間に、いつの間にか、今までフツーのおばさんやオバタリアンまでが国会の先生や自治体の首長になってしまった。自治体の幹部もほとんど女性だ。男はお情けで窓口の課長にさせてもらっているだけだ。
女性管理職の目は厳しく、ちょっと手を休めたりしゃべったりすると、鋭い叱責が飛ぶ。民間の会社でもトップはほとんど女性(女と言ってはいけない。これは差別用語でうっかり使おうものなら、犯罪としてキンコ刑となる)。しかも、聖心とか東女とか、この辺で言うと椙山、金城といったエリート女子大ばかり。
今日も元気印の女王HIMIKOがTVで演説している。テーマは「男性のパート雇用を進めよう」。仕事を取り上げられ、専業主夫化していた男たちの余暇をパートで使おうという内容だ。家事労働の合間、余暇を楽しんでいた時間まで奪われようとしている。男たちは無気力化してしまった。
もし、男が女性に反抗したり、浮気したりすると、即去勢されてしまう。そのせいか最近は男でもない、女でもない第三の人が増えている。
それもこれも元総理とか元議員とかの連中の女性問題が原因なのだ。
「元始、女性は太陽であつた」というキャッチフレーズに、女性が団結して女王の国を築いた。
一層のこと女王HIMIKOの男性問題が起きないかなぁ。そうすれば、また男性天国になるかもしれん。あっ、いけない。こんなことを書いていたら、女ゲシュタボ隊に摘発されてしまう。とうとうやって来た。お願いだ。タマだけは抜かないでほしい・・・スポッ!
2023年11月23日
モノ申すオジサン物語パート5
女の子がキレイな町は発展する
モノ申すオジサンことモノジーは今日もチャリオ君に乗って、こころ旅の火野正平になったかのように役所へ。自称オンブズマン又はチェックマンであるが、人は「昔語り人」と言う。まあ、どちらでもいいけどね。今日はなぜか本をぎっしり入れたバッグを持っていない。役所の1階のロビーでどこの部署へ行こうかと思案中のところ、役所内でミニコミ紙を出しているという職員がやってきた。
モノジーは「また、君か。先だっての幸福会社の話をミニコミ紙に載せたってね。反応はどうなの?」
「なんせ30数年前の本でしょ。今ではその本を探しても無いようですが、その内容は僕ら地方公務員にも遺伝子のように伝わっていますよ」
「ナニ?遺伝子だって。どういうこっちゃ」とモノジー。
「要するに、市役所は市民の役に立つ所というのは僕らにとって当たり前のこと。それをどう実践するのかが大切なこと。それが僕ら職員の認識ですね。モノジーさんのネタはそういう意味で再認識させたということで意義深いものとの評判かな。ところで今日のネタは?」
「キミね。ネタネタっていうけど、寿司屋じゃあるまいし、トロとかイクラとかホタテっていうように、高価な貴重話が右から左にでるものとちゃうぞ。でもな、本は持ってきていないが、とっておきの話をしよう」と始まった。
女の子が着飾って歩けるハレの場
テーマは、「女の子のキレイな町は発展するまち」という話だ。このまちは縄文時代から人が住みついていたらしいが、まちの雰囲気が閉鎖的、保守的なところがある。今や、若者の茶髪は当たり前、オバサンの頭など紫とかオレンジとかで賑やかな時代だが、まだまだ開かれていない。言ってみれば、幕末当時の日本みたいかな。寛容度が低く、オープンでない。女の子が着飾って歩ける空間(ハレの場)がまちにあるのか。デートする場があるのか。若者文化の観点が抜け落ちているのではないか。だから、若者は偉大なる田舎的大都市名古屋に目を向けるのではないか。若者に魅力あるまちづくりの視点が重要と思うぞ。
キレイな女の子が行ってみたいと思うような、おしゃれなまち、インスタグラムに投稿したいようなインスタ映えするものを風景として創造したり、お店で開発するなどのまちづくりに取り組んでほしいぞ。女の子が集えば、男の子が集まるのも自然の為せる技だ。このまちの呼び声である「桜まつり」も毎年、同じことの繰り返しでリターン客は期待できない。同じことでもいいけど、工夫が足らない。そこにコスプレを入れてはどうか。とにかく若者、特に女の子が行ってみたいと思うような仕掛けをキミたち職員が取り組むべき課題、以上だ」
「幕末と現代は比較できませんが、若者文化や女の子の集客については一考できますね。まちに活力をもたせるには若者に視点を置いた施策が必要という点では一致できますね。でもね。キレイな女の子という表現は慎重にしないと差別的と言われます。ミニコミ紙のネタにできるかどうかは別にして、担当にその考え方を伝えておきます」とミニコミ職員は仕事に戻った。
残されたモノジーは何とかハレの場がまちにあればな。あれば毎日行くけどな。職員をその気にさせるネタを仕入れねば・・・と思ったとさ。
2023年11月21日
雑談の広場その16
栄村動物物語
プラン
新しさと古さ、田園風景と再開発、大店舗と今にもつぶれそうな商店街・・・と絶妙なバランスが魅力である栄村。この村にも都市化の波が押し寄せている。
子だくさんで有名なイヌのワンタロウはこの頃、悩み多き日々を送っている。
21世紀も二十数年が過ぎ、少子高齢化の波が押し寄せ、その影響が徐々に出始めている。イヌ社会でも高齢犬が多くなる一方、少犬化も進んでいる。このままでオジ犬、オバ犬ばかりになり、色気のない村になるのではと気になって気になって夜も寝られない。思い余って村役場へ。役場ではまだ少し色気が残っているタヌキ女史がワンタロウの疑問に親切に答えてくれた。
ワンタロウ「高齢化対策はどうなんでしょうか。我々イヌ族は寿命が延びて結構ですが、病気になったりボケたりしたら心配なんですが」
タヌキ女史「まあ、心配いりませんわ。我が村では皆さんが年を取っても安心して生活ができるよう様々なプランを考えておりますの。例えば、特別養護老人ホームを建設して、誰でも利用できるようにプールもありますし、少し若いお年寄りのためのダンスホールも予定しておりますの」
ワンタロウ「そりゃすごいですね。できればカジノとかバーなんかもあると最高ですね」
タヌキ女史「グッドアイディア。それも計画に入れましょう」
ワンタロウ「年金はどうなりますか」
タヌキ女史「もちろん心配いりませんわ。国は当てにできませんから、村独自のプランがあります。私たちは夢プランと名付けている制度です。それはイヌさんでもキツネさんでも誰でもどなたでも毎月100万円を支給する予定ですのよ」
ワンタロウ「そりゃすごいですね。早く年を取りたいですな。ところで最近子どもが少ないようですが・・・」
タヌキ女史「よくぞ聞いてくださいました。村では天使プランという計画があります。それによると、お子様一人に銅メダル、三人銀メダル、五人では金メダルというもので、どうです。素晴らしいでしょう。まだこの他にも若者向けのはばたけプラン、中高年向けのスタミナプラン、女性向けのキレイキレイプランなんてものもあるんですよ」
ワンタロウ「この村に住んで良かったなあ。ところでこれらのプランはいつ頃実施されますか」
タヌキ女史「今のところ予定というだけで、いつ頃実施と決まっておりませんが、いつかはできたらいいなと考えておりますのよ。ホッホホ」
2023年11月19日
こじつけ先生の処世術高座その39
『ら行』の夢・希望
「あ行」から「や行」までに関わる世相と言うか、独り言の高座は8月までに済み、最後に「ら行」が残ったけど、またの機会にということになっていましたが、こじつけ先生は呻吟しつつ何とか年内には『ら行』を載せたいとの一念で仕上げましたとの口上で高座の始まり始まり。
☆ら 「来年こそは良い年に」と毎年神頼み。昇竜を期待したい
2024年の干支は「辰年」。インターネットで検索すると、「辰年は陽の気が動いて万物が振動するので、活力旺盛になって大きく成長し、形がととのう年だといわれている。また、たつ(竜、龍)は十二支の中で唯一空想上の生き物で、権力や隆盛の象徴であることから、出世や権力に大きく関わる年といわれている」ので、大いに期待したい。
☆り 龍(ドラゴンズ)よ 覚醒せよ!
2023年の中日ドラゴンズの成績は56勝82敗で、勝率0.406の最下位だ。もうドべゴンズはイヤだ。論評すれば悪酔いするので言いませんが、来季は本当に頼むでよ。
☆る ルルル・・・
「夜明けのスキャット」は、1969年に発売された由紀さおりのシングルレコード。
この曲はタイトルの通りに、1番は具体的な歌詞が全く登場せず、大半が「ルルル…」というスキャットで歌われる楽曲である。由紀さおりの透き通った声で聴くと心の中が澄んでいくように気持ちが前向きになる。この曲は気分を夢や希望に導いてくれる不思議な魅力があります。苦しいとき、気分が落ち込んだとき、口ずさんでください。気持ちが和らぎ、じわじわと希望が湧いてくる。
☆れ レンジャーズ 米大リーグワールドシリーズ 初優勝
2023年の米大リーグワールドシリーズのチャンピオンは創設63年目のレンジャーズ。ところがMLBの話題は大谷翔平の移籍球団がどこになるのかに集中している。専ら年俸が10年総額750億円~900億円と言われている。日本の球団の平均年俸総額が40億円だそうで、大谷選手一人の年俸75億円~90億円で、日本の二つの球団を買収できることになる。改めて大谷選手のすごさが分かる。
*本稿が掲載される頃には移籍球団が決まっているかもね。
☆ろ 論より経済の上向きを
植田さんお願いします。黒田さんに縛られず、そのウエを行ってください。やはり学者さんでしょうか。実体経済に力を入れてほしい。この物価高、どうしてくれるのよ。政権がもたつくのなら、お金(紙幣)を発行する日銀がやらなくて誰がやるのよ。国民に夢や希望をもたらしてほしい。
こじつけ先生は約束していた『ら行』を掲載し、何とか越年できそうでホッとしています。ではまたバイバイキ~ン
2023年11月17日
雑談の広場その15
栄村動物物語
自然論争
ここは栄村の高級住宅地「田園チョウフ」に家を建てたハクチョウのチョーさんのお話です。
サラリバードの夢であるマイホームを苦節40年、ワイロをもらわず、ただひたすらに働いて建てました。そのチョーさんにも悩みがある。カエルの鳴き声がうるさいのだ。
とうとう思い余ってケロさんに直談判。
チョーさん「カエルのケロさん、いくら発情期とはいえもう少し小さな声でアヘアへできないものですか。子どもへの影響も心配です」
ケロ「なんとおっしゃるハクチョウのチョーさん、太古の昔から我々カエル族は6月をジューンブライドのアヘアへ月として過ごしています。ハクチョウさんも一緒にどうですか」
チョーさん「冗談じゃないですよ。苦節40年、羽に火をともすようにして貯めた金で家を建て、これから鳥生を楽しもうとしているのに、アヘアへで体力を消耗するなんて、盆暮れで十分ですよ」
交渉失敗
次にチョーさんの悩みは舗装。土の生活に憧れて栄村にやってきたのに、道路はすべて舗装されている。本来歩くのに慣れていないチョーさんは足が痛くて仕方がない。飛べばいいのにという声があるが、飛ぼうとすると電線がじゃまで思うに任せない。そこで村役場へ陳情に行った。
道路課ではカバ課長が応対。チョーさんの舗装を取ってほしいという陳情に対し、カバ課長は「土のままですと、ホコリがたって洗濯物が汚れるという声やダサいという若者の声もあって舗装にしたんだけどなあ。みんな喜んでいますよ」
チョーさん「この村の良さは自然ですよ。ボカァ、この自然に惹かれてこの村にやってきたんだ。もっと自然を大切にしなくっちゃ」
カバ課長「自然、自然とおっしゃるけど、あなたの土地は以前トンボ池だったのを埋め立てたものですよ。その地上げのせいでトンボ族は堕落してしまったんですよ」
チョーさんは自然と共生することの難しさをつくづく感じながら、芝生を維持するために除草剤をせっせと撒いている。
2023年11月14日
こじつけ先生の処世術高座その38
子どもたちを健やかに育てるために
大切なのは親の生きる姿勢
こじつけ先生は、孫育が家庭内の仕事の一つです。孫たちには、こじつけなどということは言いませんが、健康に賢く育ってほしいと願っています。今回の高座は、子育てをテーマに始まり始まり。
親が子どもを育てるとき、健康であれ、賢くあれと願うわけだが、本日は「心を育む」ということを高座する。
「健やかな心」を育てたい・・・と誰しも思うが、現実は全くそれとは程遠い世の中の状況がある。ICT社会が進展するなかで、格差がさらに拡大しているように感じる。正規と非正規、日本を支えてきた中間層の崩壊、富めるものと貧しいものの両極化、物価高、大企業と中小企業の給料格差、介護職などの公定価格の低さ、地球温暖化による災害の多発化など自然の破壊・・・小中高の子どもたちまでもいじめを恐れて、人の心の痛みを思いやるより、上下関係(先輩、後輩とかの)、先生との関係に心を使っているとか・・・自然も人もおかしくなっている。なぜか、それは世の中を動かしている人間がタワケだからだ。
ものに感じる心を
あなたは「お宅のお子さんステキねぇ」と言ってもらいたいと思いませんか。他人の目からよく見えるそんな我が子を期待していませんか。親の見栄なんですよ。そして、我が子だけ良ければとか、我が子だけは別・・・と考えていくようになって、子どもの・・・というより、人間の本当の姿、すばらしさを忘れてしまうんですね。
本当の人間のすばらしさというものは、ものを感じる心を持ち、探求心、工夫する心、興味、やさしさ、向上心、哀しみ、怒り・・・それを持ち続けることです。
我が子だけ世の中と無縁では暮らせません。では世の中に子どもを送り出していく親はどうしたらよいのでしょうか。まず、親が賢くならなければいけない。そして人間を一人一人賢くしていかなければいけない。「賢く」といっても成績が良い悪いということではない。世の中の評価に振り回されない親になることだ。
評価に不安がるな
世間の評価に不安がっている人がいます。自分の人間としての生き方に自信がなくて、人の目ばかり気にする人。「○○ちゃん、ちょっと遅いんじゃない」。こう言われただけで「もう我が子はダメな子」と落ち込む。親は良い子に育てようと必死です。でも我が子が見えていない。子どものことより自分のことをしっかりしろと言いたい。
正しい人のあり方、本音の生き方をしっかり子どもに見せてやってほしい。もちろん、これでいいの?と不安になることもある。そんなときは長いものに巻かれろ・・ではなくて、これでいいのか?という思いを話し合える仲間が大切だ。子どもを育てるとき、立派にしようと育てないことだ。その子の生きる力として何が大切かを教える。
まず、0~1歳の子。何が良いことか悪いことかをしっかり教えること。体でダメなことを覚えさせる。のびのび育てることと、叱らないことを混同しないこと。
2~3歳の自我の形成期には、子どものいろいろな思いをしっかり受け止めてやりなさい。自分と他人の別をしっかり身に付けさせ、他人に迷惑なことをしてはダメと正しく教えること(親が恥ずかしいからとか、他人が叱るとかはダメ)。
4~5歳になれば、もうひとりの人格を持つ者として、対等にぶつかり合い、傷ついたり仲直りをしたりという友達と同じような関係がのぞましい。親の要求を子どもにだけ押し付けないで、同じ要求を自分にも課して親も成長してください。
他人の心をわかる子に
親として、それは苦しい生き方ではあるけれど、その苦しい生き方を貫くなかで子どもが育ったとき、今の競争や格差でつぶされそうな世の中が少しは変わっていくような気がする。自分を知ってる子は他人の心をも分かる子に育っていると思う。
子どもをどう育てるか・・・子どもは本来生き生きとする力(生命力)を持っている。そして、遅い早い、興味のあるないはあっても、同じ道筋を通って発達していく。もちろん育つための土台はいるけれど、本当に大切なのは親の生きる姿勢と思う。
こじつけ先生は自省しながら本稿をまとめた。できればやり直しをしたいと思ったが、それはできないこと。故に現役の人たちへ伝えることが自分の役目と思ったとさ。ではまたバイバイキ~ン
2023年11月12日
モノ申すオジサン物語パート4
幸福会社
3か月ぶりくらいの登場。チャリオ君に乗り、例によって本をぎっしり入れたバッグを手に、自称オンブズマン又はチェックマンことモノ申すオジサン(以下、モノジー)が踏切でイライラしながら通過電車を待った。いや待ち続けていたと言ったほうが正確だ。車列も以前よりだいぶ長くなっている。この中の何人か、いや何十人かは確実に遅刻するかもしれんなとモノジーはつまらないことを考えた。なんで軌道か道路を高架化にしないのか。できないほどこの町は貧乏なのか。鉄道側が応じないのか。その辺は定かではないが、経済的損失を考えると、高架化は必要かな。やっと遮断機が上がって、モノジーは愛車(もちろんチャリオ君)にまたがって役所の玄関前へとうちゃこ。玄関前でハタと考え込んでしまった。今日はどこの部署へお邪魔しようか。まあ急ぐこともないからとソファに座っていると、「こんにちは」と40歳くらいの男子職員が声をかけてきた。
幸福会社の本
「いつも面白い本を紹介していただき、勉強させてもらってます。今日も何かお持ちですか」
モノジーは待ってましたとばかりに「そうかそうか。お前さんはワシの紹介した本を読んでくれているのか。ウンようできた人だ。お前さんは出世するぞ」とヨイショしてしまった。
「まぁ座りゃ。今日はな、お前さんたちの仲間が書いた本を持ってきてやったぞ。ほらこれだ」といつものバッグから取り出したのは『幸福会社(しやくしょ)の父さんたちは考える』(近江文化社刊1400円)という30年前に発行された相当古い本だ。
これは大津市役所の4人の職員が自主研究グループ「山水会」を作って、市民に本当の市役所を知ってもらおう、僕らが何を考え、何に悩み、何をしようとしているのかを知ってもらおうということで、学校、国際化、公園、水、森、川など11の話を自分たちの子どもに分かりやすく語りかけるように書いたものなんだ。
まちづくりは生き物
このグループのすごいところは、単なるおしゃべりや批評ではなく、こんなふう位置付けているんだ。『僕たちは学者になれません。まちづくりは生き物ですから、学問として定理を見つけたり、理論化することは容易ではありません。僕たちは実践者でしかないのです。僕らは永遠に実践者を目指すべきですし、そのためには行動に裏打ちされたまちづくりに対する考え方がなければ研究の意味がない』として、『体験と学習の実践者として、責任を持って積極的に発言する研究会』活動を続け、政策提案を行っている。
身近なことから勉強
これまでに様々な論文を発表し、緑の文化省、読売賞、日本賞などを受賞している。といっても、もう30年以上前の話だが、この4人が特に優れていたわけではないとワシは思っとる。「この4人はお前さんの大先輩だが、当時は市役所の中堅職員。ただ、「こんなことでええのかな」という思いからまちづくりの勉強を始め、政策提案と実践をしてきたから長く続いているのだ。この役所にも自主研究グループってものはあるのか」
「自主研究グループではないけど、仕事の一環として、空き家を若者のサロンとして、若手職員が市内の商工会やら企業の若手と協働で運営しているけど、政策提案とか自主勉強などはどうかな」
「頼りないな。もっともワシも40歳くらいのときは、パチ研とかJRA研究会とかってもので勉強したけど。難しいことは学者に任せといて、身近なことから勉強すりゃええとちがうか。それはそうと、この本の題名は分かるか。市役所は市民を幸せにする会社ということから幸福会社とネーミングしたそうだ。どうだ。ええ名前とちゃうか。時代を先取りした名前だな。ここも○○幸福会社としてはどうか。アッハハ。ところでお前さんはさっきから黙ってワシの話を聞いとるが、何か言うことはあるかね」
「モノジーさんの話はいつ聞いても面白いので、私の出しているミニコミ新聞のネタにさせてもらってます。今回も面白い記事になりそうです。ハイではこれで失礼します」と中堅職員氏は、ア然とするモノジーを尻目に立ち上がって去った。
注) ここで紹介した「幸福会社(しやくしょ)の父さんたちは考える」は1993年頃に発行されたもので、現在ではすでに絶版となっているかも知れません。どうしても読みたいという方は無駄になるかも知れませんが、ひょっとして図書館に収蔵されている可能性はあります。なんせ30年前の本ですから。
2023年11月10日
雑談の広場その14
ついに実現 紙上全面対決
甘党VS辛党
辛党に告ぐ これだけは言いたい
12月、1月という特に酒飲みの季節は、アンチ酒飲みの人にとって嫌で嫌でたまらなく嫌な季節だ。コロナ禍を経て、街中での飲酒はほぼ開放され、それまで隠忍自重気味だった居酒屋などの飲食店にとっては稼ぎ時の季節だ。飲食店に文句を言うものではないが、文句の一つでも辛党に言いたい。心して聞け!
コロナ禍以前に比べ、職場やグループなどの宴会は減りつつあるようだが、それでも冬の季節は宴会が世の習いみたいだ。
乾杯がすんで目の前の料理を食べようとすると、隣りに座った酒飲みが「まあ、一杯いこう」と注ぎにくる。しようがないので少し飲んでコップを出すと、隣人は「どんだけ~」と美容家と言うか芸人と言うかIKKOさんの真似をして指を立ててのたまう。思わず(コイツ、そっちの毛があったのかと)オエッとしそうだが、こらえて「いや~下戸だから」と卑下しながら頂く(何でお前なんかに卑下しなくちゃならないんだ)。何とか、隣りのアホの酒飲みをかわして、いざ刺身を口に運ぼうとしたとき、もうビール瓶を持って回ってくる奴がいる。見ると酒豪の上司だ。
どうして落ち着いて食べたり飲んだりできないのか。最近は、宴会の始めと終わりの時間帯は自席で料理を食べようという、食品ロスをなくす運動があっちこっちで始まっているが、まだ一般的ではない。行政側のPRが足りないようだ。
「やあやあ、ごくろうさん。まあ、ゆっくりやってくれ。ホレ、遠慮せんと飲みゃ」(遠慮せんと飲めってか。バーロ、お前が金を出すのか。これは会費だろ)。「えりゃ、すいません」とお愛想の一言を言って頂く。
こうして延々と宴は続く。救われるのは、宴会中のカラオケがなくなったこと。酒飲みの音程が外れたガラガラ声を聴かずにいられるのはいいことだ。
酒飲みに言いたい。酒を飲むことに全エネルギーを使うのではなく、その一部でもいいから、仕事に精出せよ。
チクショー。今度オレが幹事のとき、酒の代わりに「おしるこ」と「ぜんざい」、「甘酒」「チョコパフェ」「ケーキ」それから「栗鹿の子」を出してやるぞ~。
酒を愛せよ!
甘党氏の主張を聞き、そのバカさ加減に呆れ、読者の皆様が甘党の過激かつ狂気の思想に振り回されてはいけないと思い、全国5千万人の辛党を代表し、一言申し述べたい。
甘党氏は酒飲み(この言葉自体が辛党を差別し、いかにも悪者という意味を込めたものであり、表現に悪意を感じる)がいかにも社会の嫌われ者であるかのように思い込んでいる節があり、あまつさえ同僚をつかまえてアホとかバーロとか言うに至っては、正気の沙汰とは思えず、とうとう砂糖の取りすぎで脳中毒になったのではないかと貴氏の精神が案じられます。
まあ、それはさておいて日本古来、いや人類出現以来(いやまてよ、サル酒もあるくらいだから、それ以前かも)酒は人間の最大の理解者、人生の最良の伴侶としての地位を築いており、その不動の地位は、例え奥さんと離婚しても揺らぐほどのものではないことは歴史が証明している(この辺の言葉はセクハラの対象となりそうだが、論争中につきお許しを)。
難解なことは砂糖で脳軟化症の貴氏には理解しにくいから、もっと分かりやすく言うと、一日の疲れは一杯の酒で癒せるという効能を知ってほしい。ストレスとかICT化とか、やたらめったら舌を噛みそうな言葉が氾濫している現代こそ、今日の疲れを取り、明日へのヤル気を引き出すものは新妻と酒以外なにがあるだろうか(またまた、セクハラ禁止用語を出してしまった)。
忘年会や新年会は、人間関係を円滑に保つ便法として生まれた日本民族(おっと、右翼的な言葉が出たが、酒に思想はない)の良き習慣である。下戸で甘党の貴氏には辛いかもしれないが、ガマンするのもまた人生勉強ではないか。なかにはムリ強いするヤカラや酔ったふりして触る奴もいるかもしれないが、それはニセモノの辛党である。その辺の見極めをキチンとしてほしい。
もし仮に忘年会や新年会をぜんざいや甘酒でやったらどうなると思う?ゲロゲロどころではない。翌日は糖尿病で入院する人が続出し、日本経済はハタンしてしまうだろう。賢明な甘党の貴氏にはもう理解していただけると思うが、最後に一つ、もし辛党がいなくなったら⇒酒税が入らない⇒国がつぶれる⇒流民・難民となる。だから酒を愛せよ!
2023年11月08日
こじつけ先生の処世術高座その37
イチゴ世代(15歳前後)が危ない
なぜ増える小中の不登校
児童生徒の登校拒否=不登校の問題は毎年、文部科学省が実態調査をしている。こじつけ先生は本年の調査結果から、これは由々しき問題であるとして、今回の高座のテーマに取り上げた。これより高座の始まり始まり。
小中の不登校 29万9千人余 過去最多
本年10月5日・18日付け中日新聞に掲載された文部科学省の2022年度の問題行動・不登校調査結果(10月4日公表)によると、全国の国公私立小中学校で30日以上欠席した不登校の児童生徒は、小学生は10万5112人、中学生は19万3936人の計29万9048人と過去最多を更新。コロナ禍の20年度から10万人以上増えた。35人学級に1人は不登校の児童生徒がいることになる。不登校は学年が上がるにつれ増える傾向にあり、最多は中2の7万622人で、中3の6万9544人が続いた。高校は6万575人。いじめの認知件数の学校種別は、小学校55万1944件、中学校11万1404件、高校1万5568件、特別支援学校3032件で10.8%(6万6597件)増の68万1948件であり、全学校の82.1%に当たる2万9842校でいじめが認知された。なお、いじめのうち身体的被害や長期欠席などが生じた「重大事態」は217件増の923件で最多となった。
児童生徒の学びを支える態勢が圧倒的に不足
学校側が挙げる不登校理由は児童生徒の「無気力・不安」が最多で過半数を占め、文部科学省は不登校を「コロナ禍で学校や家庭の環境が変わり、生活リズムが崩れやすい状況が続いた」と分析しているが、中日新聞の社説では「不登校はコロナ禍以前から増えており、適切な説明とは言えない、子どもがなぜ無気力や不安にならざるを得なかったかを探ることが大切だ」と指摘している。なお、同新聞の社説では「同省が2021年に公表した調査報告書には児童生徒自身が回答した不登校のきっかけが記されており、教員やほかの児童生徒との関係、勉強についていけないなど、学校由来の理由が多数を占める。」「問題は、急増する不登校の児童生徒の学びを支える態勢は圧倒的に不足していること」と課題を示している。
深刻な問題は、社説によると、「不登校の児童生徒の中で、養護教諭や各地の教育支援セターなど学校内外の専門家に相談したり指導を受けたりしていない子どもは4割近くに上る。こうした子どもたちは毎日どう過ごしているのか、心配せざるを得ない。」とのことだ。
最近、滋賀県東近江市長が「フリースクールは国家の根幹を崩しかねない」と不登校対策を話し合う会議で、持論を展開し、物議を醸した。その後の会見で、配慮不足を認め謝罪したが、発言は撤回しなかったそうだ。この市長の発言は暴言であり、首長としての資質を問われかねないものだ。
それはさておき、教育機会確保法(2017年施行)は「不登校=問題行動」ではないとし、多様な学びの場の確保、個々の状況に応じた学習支援を求めている。文部科学省は、受け皿の一つがフリースクールでの学習で、各校長の判断で出席扱いにできるとの通知を発している。いわば、学校に籍を置きながら、フリースクールに登校できる。
また、政府が11月2日に決定した経済対策によると、不登校の居場所を運営する民間団体と、「子どもの居場所づくりコーディネーター」を採用・育成する地方自治体を財政面から支援強化するとのこと。制度設計や予算付け、地方自治体への支援策など具体的なことはこれからだから、実施までには数年要するのでしょう。世界に冠たる日本の官僚の政策力の貧困さに愕然とする。教育ほど政策と実態の乖離が大きいものはない。もっと力を入れるべきと考える。
子どもたちに何が起きているのか
以上が文部科学省や新聞の報道の内容であるが、文科省の調査は実態を把握するのみの現象的な問題を捉えているにすぎず、本質的な問題である子どもたちに何が起きているのかに踏み込んではいない。なぜ中2や中3の15歳前後の「イチゴ世代」が揺れているのか。親の知らない子どもたちの叫びは何だろう。
急速に進むICT化、スマホでのSNS、見知らぬ人とのネットを通じての交流、その一方で校則の縛り、教員による盗撮、淫行といった暴走、体罰、陰湿化しているいじめ、コロナ禍で学校や家庭の環境の変化などが不登校の背景にあるのだろう。それが子どもたちの心を無気力、不安にさせているのではないだろうか。
30年前から登校拒否問題はあった
古い話で恐縮だが、30数年前の1990年1月の国の青少年白書によると、昭和63年度の児童生徒の登校拒否(当時はこの表現)は4万2千人余で昭和54年度の4倍と大幅に増加しており、なかでも中学生は3万6100人であったと大きく報道された。当時の親世代は戦後のベビーブームである40代の団塊の世代で、この世代は受験戦争、学生運動、昇進レースそして老後も・・・人生が終わりを迎えるまで競争し続けなければならない世代であった。
昭和63年度当時の子どもは第二次世代で親以上に深刻な状況が登校拒否という形で現れた。もう少し、当時の話を続ける。白書によると、小中学生登校拒否者を態様別に見ると、無気力型が29.9%、情緒混乱型が29%、非行グループ型16.6%など。こうした社会的背景として、ビデオやパソコンなどの普及が人との付き合いを苦手にしたり、生活実感を希薄にさせている。そして家族の団らんの機会の少なさ、偏差値偏重の学校教育の弊害、青少年の疲労感や無気力感が広がっていると白書は指摘していた。当時も国の調査は実態の把握のみで団塊の世代の子どもたちに何が起きているのか、親たちの知らない子どもの叫びは何かという本質問題を掴んでいなかった。
当時、高校受験に追われる中学生の間に″コックリさんごっこ″とか″自殺ごっこ″とか″人面犬″というような超常現象が流行し、その一方で校則、体罰、いじめなどが原因で登校拒否症状を起こしていた。ここにイチゴ世代と呼ばれる15歳前後の彼らの心の″揺れ″を見ることができたが、国の対策は①家族の触れ合いと信頼関係②児童生徒の個性や多様な能力を引き出す③地域ぐるみで子どもを育成する環境をつくることが重要と強調していた。そこに苦しむ子どもたちに寄り添うという姿勢は見られず、上から目線の対策でしかなかった。これでは功を奏することはできず、以後、毎年登校拒否=不登校は増え続けることとなり、2022年度は約30万人の不登校となっている。
近年の児童生徒の不登校は、団塊の世代から見て第三次世代の15歳前後のイチゴ世代であることに驚きを禁じ得ない。ここでも団塊の世代の影響を引きずっているのだろうか。子どもの心の揺れ、叫びが何であるのか。問題の本質を掴んで対処してほしいと考える。
ある日突然、不登校に
ごく普通の中学生がある日突然、原因が分からないまま「お腹が痛い」といって学校を休む。共働き世帯では急には対応できず、子どもは家庭で過ごすことになる。次の日も、その次の日も腹痛や頭痛が続く。これが不登校の始まり。子どもとの信頼関係がないと、子どもの心は分からない。特にいじめについては、いじめも暴行よりSNSでのいじめ、無視、LINE外し、仲間外れ、物を隠す、壊すなど陰湿化している。昭和の時代の話だが、先輩後輩の関係について、昔から大学の体育会系のクラブでは、1年奴隷、2年平民、3年天皇、4年神様と言われていた。むろん思慮分別のある大学生だから無茶はなかったが、まだ価値観が定まらない中学生の先輩後輩という上下関係はかなり危険ではないだろうか。
不登校は最後の抵抗
こうしたいじめに対する最後の抵抗が不登校。その共通した症状は、朝学校に行く時間になると、発熱、腹痛となる⇒昼間は寝て夜起き出すという昼夜逆転の生活⇒周囲の眼が冷たくなり、人間不信になる。
いじめだけが原因ではない。親世代にも原因があるのだろう。ほらよくあるでしょ。自分が果たせなかった夢を子どもに過度に期待したり、いい学校に入ればいい企業に入れるとか、高い給料を得てほしいなど、そういう得手勝手な親の思い。権利を振りかざし、責任を他人に転嫁するという風潮。自分の生活と権利に重点を置いた子育て。子どもは勉強さえすればよい、家の手伝いはしなくてよい式の子育て。これが子どもの心を窮屈にしているのではないか。
子どもを信ずる
全て規格に当てはめるという日本の社会構造の中で、個性を持った子どもは、はみ出し人間として、いじめの対象となり排除されがちだ。
不登校から立ち直った子どもの母親は言う。「子どもの言うこと、やることの全てを信じてあげてほしい。誰が何と言おうとも、親だけは子どもの味方になってやってほしい。こういう子どもになれと要求するのではなく、ありのままの子ども、その全てを愛してほしい」と訴える。
ある専門家は「ほめ言葉の上手なお母さんになってほしい。子どもを叱るのではなく「何故こういうことをしているんだろう」「何をしたがっているのか」など見えざるものの裏側が何かを考えてほしい」と呼び掛けている。
こじつけ先生は、団塊の世代の影響が孫世代までに及んでいることに驚きを感じたことから、自身が持っている古いデータを参考に今回の高座のテーマに不登校を取り上げたもの。こじつけ先生が言わんとしていることは、問題の現象だけに捉われず、本質的な面を掴み、人を大切にする対策を講じてほしいと願っているとさ。ではまたバイバイキ~ン