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mc1397

2023年08月08日

モノ申すオジサン物語

モノ申すオジサン物語パート3
「行政を論ず」

 チャリオ君に乗り、例によって本をぎっしり入れたバッグを手に、自称オンブズマン又はチェックマンことモノ申すオジサン(以下、モノジー)が来庁。今日は市役所の本丸ともいうべき企画関係へいそいそと向かった。
「ウッワァ、狭い部屋だがね、ここに何人住んどるの?」と政策を担当する課の入口で第一声。
 いつもの例で課長を探そうと思ったが、どこに誰がいるのか分からずウロウロ。手近の職員をつかまえてボスの所在を尋ねると、「不在」とのこと。それじゃあと窓口の椅子に座って、若手職員に「キミ、まだペイペイかね」と聞くと、「Paypayカードのことですか。あれは民間の事業なので・・・」と説明を始めた。モノジーは何のことか分からず、「ちゃうちゃう。ペイペイって、役のない下っ端の職員のことなんだわ。そうか、もうこの言葉は死語なんだ」とブツブツ。「まあ、いいからいいから。キミにとっておきの情報を与えるから、ちょっと聞きなされ。」と強引に椅子に座らせた。

痛快ワンマン町づくり
「ワシのこと知ってるな。今日はどうしてもお前さんたちに読んでほしい本を持ってきた。ほらこれだ」とバッグから『痛快ワンマン町づくり』(早瀬圭一著 ちくま文庫)を取り出した。
若手職員は「えらく古そうな本ですね。いつ頃の本ですか」
モノジー「これは1989年頃の本だな。34年前か」
「ボク、まだ生まれていませんよ」
「まあ、生まれているとかいないとか、古いとか新しいとかではなく、行政はどうあるべきかを示唆するというか、お手本となるべく町づくりなので、あえて、政策を担当するキミに紹介するわけだ。ここからヒントを得て、素晴らしい政策を市長に提案すると、大出世しまっせ」というわけで、以下、モノジーの″大演説″

 ワシはこれを読んでこれこそホントの町づくりだと思った。ワンマンと言われた東京都の江戸川区長中里喜一氏が『日本一住みよい町』にするために独自のユニークな施策を職員とともに展開している。0歳児の保育ママ制度や高齢者事業団、ホタルプロジェクト、更には親水公園、高齢化社会に対応するために自宅で老いを健やかに過ごせるよう住宅改造の助成など、時には国や都とケンカしながらも施策を進め、全国の自治体のトップとなっている。行政のプロというかヒヨッコというか、キミにぜひ読んでほしい本だ。

江戸川名物『ポニーランド』
 この本にこんなことが書いてある。あるとき、区民から『馬のいる公園をつくってほしい』という手紙が区長あてに来た。担当課が『検討しますが、残念ながら実現は難しいと思います』と返事を書いたところ、区長は『馬のいる公園、面白そうじゃないか。つくりなさい』
 今では『ポニーランド』として江戸川名物になっている。

住民第一主義
 この区長の哲学は何だと思う?住民第一主義だよ。だから二言目には『役所のなかで考えているだけではダメだ。江戸川の町を歩け。各町内を見て回れ。それが仕事だ。住民が何を望んでいるのか。どんなことで悩み、困っているか。それを正しく早くつかむ。職員にはいつも言う。何かやろうとするときはまず住民のところへ行って聞け』と檄を飛ばす。

勇将のもと弱卒なし
 またこれに応える職員がいるから、施策がドンドン実行され、住民に受けるんだなあ。勇将のもと弱卒なし・・・いい言葉だろう。適材適所の配置で職員のヤル気を引き出しているんだ。
 ワシはこれと同じことをやれとは言わん。しかし、その心をつかんでほしい。特に頭のやわらかいキミたちにだ。ではこの本を謹んで贈呈するから読みたまえ。
 では失礼。ホント狭い部屋だなも。

「あれが噂のモノ申すオジサンか。面白い人だな。紹介された施策はポニーランドを除き、今や、自治体にとって標準装備みたいなものだけど、あの区長の哲学は立派だな。行政の基本だ。もっと勉強して、役所という文字どおり役に立つ所の職員にならなければ・・・」とボクの日記に書いておこう。

以上で高座は終了。ではまたお会いしましょう。バイバイキ~ン

注) ここで紹介した文庫本(痛快ワンマン町づくり)は1989年頃に発行されたもので、現在ではすでに絶版となっているかも知れません。どうしても読みたいという方は無駄になるかも知れませんが、ひょっとして図書館に収蔵されている可能性はあります。なんせ34年前の本ですから。

  

Posted by mc1397 at 09:07Comments(0)TrackBack(0)