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mc1397

2023年11月12日

モノ申すオジサン物語

モノ申すオジサン物語パート4
幸福会社

 3か月ぶりくらいの登場。チャリオ君に乗り、例によって本をぎっしり入れたバッグを手に、自称オンブズマン又はチェックマンことモノ申すオジサン(以下、モノジー)が踏切でイライラしながら通過電車を待った。いや待ち続けていたと言ったほうが正確だ。車列も以前よりだいぶ長くなっている。この中の何人か、いや何十人かは確実に遅刻するかもしれんなとモノジーはつまらないことを考えた。なんで軌道か道路を高架化にしないのか。できないほどこの町は貧乏なのか。鉄道側が応じないのか。その辺は定かではないが、経済的損失を考えると、高架化は必要かな。やっと遮断機が上がって、モノジーは愛車(もちろんチャリオ君)にまたがって役所の玄関前へとうちゃこ。玄関前でハタと考え込んでしまった。今日はどこの部署へお邪魔しようか。まあ急ぐこともないからとソファに座っていると、「こんにちは」と40歳くらいの男子職員が声をかけてきた。

幸福会社の本
 「いつも面白い本を紹介していただき、勉強させてもらってます。今日も何かお持ちですか」
モノジーは待ってましたとばかりに「そうかそうか。お前さんはワシの紹介した本を読んでくれているのか。ウンようできた人だ。お前さんは出世するぞ」とヨイショしてしまった。
 「まぁ座りゃ。今日はな、お前さんたちの仲間が書いた本を持ってきてやったぞ。ほらこれだ」といつものバッグから取り出したのは『幸福会社(しやくしょ)の父さんたちは考える』(近江文化社刊1400円)という30年前に発行された相当古い本だ。
 これは大津市役所の4人の職員が自主研究グループ「山水会」を作って、市民に本当の市役所を知ってもらおう、僕らが何を考え、何に悩み、何をしようとしているのかを知ってもらおうということで、学校、国際化、公園、水、森、川など11の話を自分たちの子どもに分かりやすく語りかけるように書いたものなんだ。

まちづくりは生き物
 このグループのすごいところは、単なるおしゃべりや批評ではなく、こんなふう位置付けているんだ。『僕たちは学者になれません。まちづくりは生き物ですから、学問として定理を見つけたり、理論化することは容易ではありません。僕たちは実践者でしかないのです。僕らは永遠に実践者を目指すべきですし、そのためには行動に裏打ちされたまちづくりに対する考え方がなければ研究の意味がない』として、『体験と学習の実践者として、責任を持って積極的に発言する研究会』活動を続け、政策提案を行っている。

身近なことから勉強
 これまでに様々な論文を発表し、緑の文化省、読売賞、日本賞などを受賞している。といっても、もう30年以上前の話だが、この4人が特に優れていたわけではないとワシは思っとる。「この4人はお前さんの大先輩だが、当時は市役所の中堅職員。ただ、「こんなことでええのかな」という思いからまちづくりの勉強を始め、政策提案と実践をしてきたから長く続いているのだ。この役所にも自主研究グループってものはあるのか」
 「自主研究グループではないけど、仕事の一環として、空き家を若者のサロンとして、若手職員が市内の商工会やら企業の若手と協働で運営しているけど、政策提案とか自主勉強などはどうかな」
 「頼りないな。もっともワシも40歳くらいのときは、パチ研とかJRA研究会とかってもので勉強したけど。難しいことは学者に任せといて、身近なことから勉強すりゃええとちがうか。それはそうと、この本の題名は分かるか。市役所は市民を幸せにする会社ということから幸福会社とネーミングしたそうだ。どうだ。ええ名前とちゃうか。時代を先取りした名前だな。ここも○○幸福会社としてはどうか。アッハハ。ところでお前さんはさっきから黙ってワシの話を聞いとるが、何か言うことはあるかね」
 「モノジーさんの話はいつ聞いても面白いので、私の出しているミニコミ新聞のネタにさせてもらってます。今回も面白い記事になりそうです。ハイではこれで失礼します」と中堅職員氏は、ア然とするモノジーを尻目に立ち上がって去った。

注) ここで紹介した「幸福会社(しやくしょ)の父さんたちは考える」は1993年頃に発行されたもので、現在ではすでに絶版となっているかも知れません。どうしても読みたいという方は無駄になるかも知れませんが、ひょっとして図書館に収蔵されている可能性はあります。なんせ30年前の本ですから。

  

Posted by mc1397 at 12:59Comments(0)TrackBack(0)