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mc1397

2023年09月04日

こじつけ先生処世術高座

こじつけ先生の処世術高座その23
OH!雨物語
 雨を制するものが都市を制す

 本年も全国各地で大雨による災害が続出している。台風だったり、秋雨前線だったり、高温多湿によるゲリラ豪雨だったりと形態は様々であるが、昭和の時代の後期から雨の降り方そのものが大きく変わってきた。地球温暖化がその要因と思われる。要因を排除する対策は、二酸化炭素の排出を削減させることだそうだが、今や世界的な問題であるし、大気に国境がない以上、人類が連携して対処するしかないので、2050年に向けて、パリ協定に基づく目標(気温の上昇を1.5度に抑える)の達成や温室効果ガスの排出をゼロとするカーボンニュートラルの実施などが政策として実行されているようだが、遅々として進んでいないのが現状だ。
 本高座では、温室効果ガスの排出についてという大きな課題を論ずるのではなく、自治体職員が最前線で大雨に対し、どのように対応しているのかを、ある人の体験(昭和の時代)をもとに話すという口上の後、高座の始まり始まり。

〇月〇日早朝、深夜から台風の影響を受けて秋雨前線が活発化し、集中豪雨的な状況となった。大雨洪水警報発令。予測時間雨量は50~60ミリ。災害本部から要員に非常出動が発令された。前日に配備されたポケットベルが鳴った。「さあ出動だ」朝食もトイレもそこそこに市役所へ向かった。本部のある本庁舎に到着するまでに濡れネズミ状態、表現が古いし時代にマッチしていないので「水も滴るイイ男」と日記に書いておこう。
 さすが班長はもう防災服姿で地図とにらめっこ。市民や議員、警察署からの情報を受けて道路の冠水状況をマーキングしている。ひっきりなしに電話の着信音が鳴る。
「田んぼに水が入っとる。川の水門を開けてくれ」「道路が冠水しとる。仕事に行けない」「家に水が入ってきた」など悲鳴に似た声。全市水没状態か。

 班長は二人一組で班を編成し指示を出す。スーパー前の道路が冠水し通行不能のため通行止めの指示を受けた。車のキーと携帯無線機(当時は、携帯電話は普及していなかった)を受け取り現場へ。
 現場は30センチくらいの冠水状態。早速本部に無線連絡。緊張の一瞬(無線はみんなが聞いているのでうかつなことは言えない)。
「行政〇〇、行政〇〇、こちら〇〇。感度ありましたら応答願いします」
「こちら行政○○。どうぞ」
「こちら〇〇、現場到着。30センチくらいの道路冠水。バリケードで道路を封鎖します」
「行政〇〇 了解」
たったこれだけのことでも緊張する。くれぐれも私用電話のように話してはいけない。
「エート、私は○○ですが、今現場に着いたけど、水はいっぱいですが、これからどうすればいいきゃーも」では具合が悪い。総務省の総合通信局からお𠮟りを受けそうだ。

 スーパーへ納品するトラックが多い。トラックは通行可能のため通すことにしたが、普通乗用車や軽自動車は途中でエンストの恐れがあるので迂回させる。運転者の多くはここへ来るまで相当難儀してきているのか、少々の迂回では文句を言わない。お互い大変だなという顔つきで「ご苦労さん」「気を付けて」とエールを送り合う。
「ワタシ、どうしても行きたいの。行かなければならないんです」と自転車の中年ご婦人。
「30いやところによっては50センチあるかもしれないですよ」と少し大げさに注意する。
そこへ徒歩の中年ご婦人。「ワタシも行きたいんですが」
婦人同士の会話が始まる。女性はいつでもどこでも井戸端会議ができるらしい。
「どこまで行きますの?」
「スーパーに勤めていますの」
「あーら、ワタシもそうよ。ではご一緒に」というわけで水没している道路へスカートのすそをまくって出陣する。白い足がまぶしいが、それにとらわれてはいけない。仕事、仕事。
 明らかにスーパーの化粧品売り場に勤めていると思われる顔立ちの女性が「ダメ、通れないの?」
「ええ、申し訳ありません。ご面倒ですが迂回していただけませんか。本当にすみませんね」とバカ丁寧に答えた。今なら、セクハラと言われそうだが、昭和の時代は、男はいつだって美形に弱かった。

 本部長(市長)の巡視。防災服姿で我々にご苦労さんと声をかけ、状況を見る。じっとしていられない性格か、政治家がそうさせるのか、このお方はいつでもどこでもどんな集まりでも顔を出すという話だ。本当にマメなお方だと感心する。
 雨は不思議と人の心を騒がす。古来から雨は身近な存在だ。雨との付き合い方を誤ると大変なことになる。
 都市は雨に弱い。花の大東京でさえ大雨が降ると、川が氾濫する。地方の田園都市も開発が進み、田畑が減少し、天然の貯水池がなくなりつつある。雨水は道路にあふれ、家屋へ浸水という事態になる。近年では、学校などの公共施設の地下に貯水池を設置し、雨水を一時的貯留する施策が功を奏していると聞くが、コストがかかる。
雨を制するものが都市を制すると言えよう。

 何事も第一線で働く人は仕事といえ大変だ。令和の時代になっても、道路が冠水すれば、自治体職員や消防団がバリケードを持って走り回る。状況によっては、命の危険にさらされる場合がある。災害対策本部との連携をしっかり行いながら、どう行動するのかの判断をしなければならない。かつてある自治体の職員であった、こじつけ先生は当時を回想しながら、現役職員の奮闘を祈念した。ではまたバイバイキ~ン
  

Posted by mc1397 at 09:55Comments(0)TrackBack(0)