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mc1397

2023年09月25日

雑談の広場

雑談の広場その5
人間観察学
 わたしは見た!噂の化粧女
 ある日の朝、野暮用で名古屋へ行くため名鉄の急行に乗った。ラッシュ時を過ぎた時間にしては乗車率150%くらいだった。
 私は妙な癖があって、電車に乗ると必ず周囲を見回し、美人がいればその傍らに行くし、その筋の人がいれば遠ざかるようにしている。もちろんお年寄りがいれば席を譲るように心がけて、眠ったふりは極力しないようにしている。今日は、どうも私の目を引き付ける人もいないし、警戒を要する注意人物もいない・・・と思ったら、私は見た!!電車内で化粧をするという噂の化粧女を。
 化粧女は悠然と人目を気にせずにパフをはたいていた。顔は髪に隠れ、その全貌はまだ明らかではないが、浅黒い顔が段々白っぽくなっていくのが分かる。
 車掌が「○○、○○」と駅名をアナウンスした。電車の車掌はどうして鼻にかかった甘ったるいしゃべり方をするのだろうか。電車が駅を出ると、女は化粧道具からアイシャドー、マスカラ、アイラッシュカラーを取り出した。雪女みたいに白っぽくなった顔に今度は目を描くわけだ。キツネ目がタヌキ目に変わっていく様をつぶさに見学した。この変身というか、化けるというか、この過程は家内だって見せてくれない。この芸術を赤の他人が見せてくれるというのだから、金を払っても惜しくないと思った。誰か帽子を回したら、私は小銭を投げ入れただろう。
 〇〇川を過ぎるあたりで目の修復も終わり、今度は口紅を取り出した。予期したとおり真っ赤な口紅だった。電車の揺れを気にすることなく、化粧女はたらこ唇を筆でおちょぼ口に変えていく。私は啞然、呆然、愕然となり、取り乱れた。親からもらった顔をこんなに変えていいのか。しかし、韓国あたりで整形するよりはましかと思い直した。
 朝家を出るときと、夜帰宅するときとでは顔は別人だ。化粧女は多分未婚だと思うが、もし結婚したら、ご主人は何と思うだろうか。余計なおせっかいだけどね。
「お前は二つの顔があっていい。ボクは二人の妻があるのと同じだから」とでも思うのだろうか。うやらましい。いやうらやましい。
 車掌が鼻にかかった声で駅名をアナウンスした。女はそれがいつもの合図であるかのように唇の作業を終了し、次はブラッシングへと移った。もうこの時には車内の目は一斉に化粧女に注がれていたが、女は動ずることなく、堂々とした手付きで造形に励んでいた。この人ひょっとして、造形学校の先生とか、某有名な化粧品会社の方とか。
 私の周囲にいた女たちのうち、中年女は「フン何さ。化粧は家を出る前にするものよ。よくスッピンで乗れるわね」という顔付き。化粧女は「オバサン、化粧しないと外を歩けないのね」と心理戦を展開しているかのように緊張感があった。若い女は化粧女に感化されたのか、手鏡を取り出し点検を始めた。美しくなるのはいいことだと思いつつもその製造工程を見ると言葉を失ってしまう。
「新名古屋、新名古屋」のアナウンス。化粧女はすべての作業を終了しスクッと立ち上がった。その時、女の顔をはっきり目撃した。女は造形美女顔ではなく、顔をキャンバス代わりに描いた、ちびまる子ちゃん顔だったので親しみを感じた。
(これは少々オーバーな表現でしたが事実です。)
  

Posted by mc1397 at 06:38Comments(0)TrackBack(0)