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mc1397

2023年09月07日

こじつけ先生処世術高座

こじつけ先生の処世術高座その24
クレームを考える
 良いクレームは仕事を改善させる

 現代はクレーム社会である。あらゆるものにクレームがつけられる。新聞には誤字脱字マニアがいるし、テレビのアナウンサーのいい間違いにもクレームがつく。昭和の時代のことだが、かつてたった三本の抗議電話(一本との説もある)で消えた、あるドリンクメーカーのCMがあったとか。記憶が曖昧ですが、「世の中、バカが多くて疲れません?」というキャッチコピーが問題視されたらしい。今ならSNSで炎上のし放題になるでしょう。ある女優の髪型にしたのはいいが、全然似合わないと美容院にクレームをつけた中年オバサン・・・枚挙にいとまがないほど日常茶飯事のクレーム列島。
 独占的公共サービス産業の地方自治体においても、窓口の応対が悪い、人が多すぎる、若い人がおらず年配ばかり、権力的高圧的でイヤな感じ、足を投げ出しエラそうに座っている、客が立っているのに座って応対した・・・など今日もどこかでクレームに悩んでいる行政マン。
 小生、元行政マンとして、クレームにどう対応するのか、そのテクニックを今回は考えてみようとの口上。高座の始まり始まり。


難度1 窓口・電話編
 窓口の対応は迅速が基本。お客さんは忙しい合間を縫って来庁しているので、素早く用件を聞き事務処理する。これは当たり前のことだが、座ったままで受け答えをしたとか、みんなでジロッとにらんだとか、思いもよらぬクレームもある。窓口でトラブったらまず複数で応対すること。幹部クラスが必ず入り、相手を軽く見ていないことを認識させる(クレーム者は比較的興奮状態にあるので幹部クラスがなだめることが必要)。相手を座らせ、クレームの原因を丁寧に聞き、事務処理上のミスがあれば直ちに訂正する。そうではない、いわゆる「気に入らん」程度のイチャモンであっても、火の粉の拡大を防ぐために客がどんな文句を言っても「いや、それは・・・」と口を挟まず、相手の言い分をジッと聞き、振り上げたこぶしを下ろさせるように持っていく。しかし、クレームと苦情は違うので、理不尽なことや身勝手な主張には断固とした姿勢を示すこと。クレームをお叱り、不満、理不尽な言い分である苦言や苦情と混同するのではなく、意見として考えること。
 クレームの対応として、相手をよく見て、その人なりの話し方を考え、どのような内容をどのような順序で話すか、どのようなタイミングで結論を述べるかなどをイマジネーションすること。つまり、相手への話し方についての工夫と努力が必要である。
 きちんと説明しても、人は理解しても、納得するとは限りません。最近の例として、福島第一原発の処理水放出について、漁業者が反対する中、国も東電も「関係者の理解なしに処理水を処分しない」と繰り返し、岸田首相は風評対策やなりわい継続支援に全力を挙げる姿勢を強調しつつ、「数十年の長期にわたろうとも処理水の処分が完了するまで政府として責任を持って取り組む」と述べているが、全国漁業協同組合連合会の会長は、処理水の海洋放出反対は変わらないこと、科学的な安全性への理解は漁業者も深まってきたこと、風評被害は起きており、漁業を続けていくためのフォローアップ体制づくりをお願いすることを発言している。つまり、政府の言う論理や理屈に対する理解はあっても、風評被害や漁業への継続支援などに対する心理や気持ちの問題として納得していないということでしょうか。日本人が長きにわたり背負っていかなければならない十字架です。話をもとに戻します。
 電話の場合のクレームは相手の顔や態度が分からないので処理にはテクニックを要する。相手が切るまで辛抱強く聞き、「ご納得いただけないと思いますが、・・・ということでご理解をお願いします」とか「貴重な意見としてお聞かせいただきました。今後に生かせるよう考えたいと思います」と言い続け、言質を与えないようにする。
*ポイント
 ・クレームと苦情は違うこと。クレームは意見である。
 ・人は理解しても、納得するとは限らないこと。
 ・相手なりの話し方を考え、どのような手順で話すのか、そのタイミングを見極めること。
 ・早く楽になりたいからといって、安易な即答はしないこと。回答を保留し、相手が冷静に判断できるよう時間をあけることも必要。

難度2 金銭編
 行政の仕事の中で金銭を巡るトラブルが一番厄介だ。納税者意識の強い人は二言目には「税金を払っとる」と言わっせる。こんな事例がある。自称社会的地位の高い人(大企業の部長職)から「市役所のやっていることは旧ソ連と一緒だ」という演説を聞かされた。この自称部長氏はとうとうとソ連が何故崩壊したのかを語り、市役所の体質はかつてのソ連を同じで特権的かつ官僚的だと決めつけた話です。そして最後に「市長に直談判する」と述べた(こう言って実行した人はあまりいない。これで我々がビビると計算してのことだ)。 しかし、担当の職員も負けておらず、税金の使いみちは公共性の高い事業への投資であって、個人の利害に関連するものは、行政が指導するものであっても個人負担であることの違いを力説したとのこと。
 このようにクレームの内容によっては「お説ごもっとも・・・」で済ますわけにはいかないものもある。公共性、公平性の観点から守るべき立場は、身体を張ってでも守らねばならない(これくらいの気概は持ってほしい)。

難度3 ユスリ・タカリ編
 クレームは市へのものと個人のものと別れる。仕事の上のクレームは組織的に解決すべきものだが、クレーム者はその辺を使い分けて突っ込んでくる。責任感、使命感の強い人間と見ると詰め寄ってくる。話し合う中で、相手に知恵がつき、足元をすくわれる場合もある。
 相手はユスリ、タカリを目的としているので取るまで絶対に引かない。必ず幹部を交えた複数で応対すること。仕事上の個人のミスであっても組織的に解決することが基本。毅然とした態度で臨み、相手の言動を細かく記録(録音、録画)すること。犯罪の恐れがある悪質な行為には警察と連携して対応する。

難度4 トップ編
 頭ごなしにクレームが出ることがある。それもいきなりトップへという最悪の事態もある。いわゆる政治的解決だ。これはもう雲の上の人に解決を委ねるしかないが、事務担当として、クレームの解決の仕方を表向き裏向きを含めて幾とおり思案し、静かに沙汰を待つ。

難度5 死闘編
 長年行政マンをやっていて一番腹の立つことは行政内部の融通の無さ、風通しの悪さだ。課内で部内でそれぞれのメンツのため暗礁に乗り上げることがある。またキャッチボールのように仕事が飛び交うこともある。せっぱ詰まって実力者の一声で決着を見るが、シコリと復讐心は残り、かくして仁義なき闘いが始まることになる。高倉健や菅原文太のようなカッコよさはなく、ロシアの暗殺者のような陰湿な暗闘。お客さんのクレームより職員のほうが難解だ。内部通報という正式な手続きを踏まえた情報提供なら改善のため、褒められることだが、匿名の怪文書、誰かのパソコンを密かに使っての偽メールなどのロシアのごとくの戦術。それに出世争いが絡んだりすると、もうそこは殿の寵愛を得ようとして権謀術数を巡らす大奥の世界だ(勝手にやってください)。

総括
 クレームには良いものと悪いものがある。良いクレームは仕事を改善させてくれるが、悪いクレームは単なる難癖、嫌がらせ、八つ当たりに過ぎない。この辺の見極めが大切だ。まあクレームも給料のウチと思えばどうってこともないが、クレーム対応は相当のストレスが伴う。ストレス解消法としては、世の中、いろんな人がいるので仕方がないと思うこと、そして過去から何を学び自分を変えることができるかを考えることです。アナタの成長にとってチャンスかもしれません。クレームよ、来るなら来い、待ってるぜというくらいの気概を持ちましょう。

 以上でクレームの高座は終わります。こじつけ先生は今回のテーマを考えながら、自分の公務員人生を振り返り、過去の出来事が昨日のようによみがえり、できることなら消しゴムで消したい気持ちになったとさ。でも過去は消せませんが、未来に向けてやり直すことはできます。前を向いて同じことを繰り返さないように教訓としましょう。ではまた、バイバイキ~ン
  

Posted by mc1397 at 11:45Comments(0)TrackBack(0)